百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を賭けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.5-72 獣人族最弱の称号を返還した兎人族は最強の二刀流戦鎚装備を手に入れた! scene.1 中
Act.5-72 獣人族最弱の称号を返還した兎人族は最強の二刀流戦鎚装備を手に入れた! scene.1 中
<一人称視点・リーリエ>
「それじゃあ、始めよっか?」
「
「は、始まってしまったっス! リーリエさんってどれくらい強いんスか!?」
『どれだけか実際よく分かってないけど、
「い、痛いのは嫌でございます!! こ、こうなったら吸血鬼でもなんでも関係ないでございます!! うっさうさにしてやりますでございます!!」
「腹を括るっしかないっスね! 狐人族の底力、見せてやるっス。……あっ、倒すなら一瞬でやってくれっス。倒されると死にはしないっスが痛いのは痛いっスからね!」
覚悟も決まったみたいだねぇ……さて、まずは。
「好きに攻撃してきていいよ? これは武器の扱いに慣れるための模擬試合だからねぇ。ボクが一瞬で全滅させたら意味がないからねぇ」
三種の闘気を纏って、剛力智證通と金剛智證通で強化して『
「
騎士系四次元の一つ守護騎士帝の特技を発動して、防御力重視の構えを取る。攻撃力と命中率が下がる代わりに防御力が跳ね上がる、守護者たる守護騎士帝を象徴する特技だねぇ。
ちなみに、騎士系は騎士、正騎士、勲爵士とレベルアップしていくんだけど、騎士系の四次元職は防御特化の守護騎士帝以外にも、攻撃特化のスキルを習得する戦騎士帝、聖属性の攻撃も可能になり回復の術も持つ聖騎士帝の二種類がある。……実はこういった複数のルートがある四次元職は一つの四次元職のスキルを全習得することで第二の四次元職、第三の四次元職と解放することができるんだけど、これに関してはあんまり認知されていないみたいだねぇ。まあ、そもそも一種類とは言え四次元職のスキルを全取りっのはなかなか難しいことではあるんだけど。
四人の『
「……なかなか、やるねぇ。きっちり使い熟している……普段の獣王決定戦なら二位入賞は確実じゃないかな? でも、それじゃあボクは止められない――
守護騎士帝が習得できる特技の一つ、「
この特技は受けたダメージを次の攻撃に加え、更に与えたダメージの合計値の半分の体力を回復するというもので、守護騎士帝の数少ない自己回復手段なんだよねぇ。回復面においては聖騎士帝に劣り、攻撃力では戦騎士帝に劣る防御特化の守護騎士帝だけど、この特技に関してはこの二つの職業にも匹敵する攻撃力を叩き出すこともできる。実際、大手のギルドマスターでもあえて守護騎士帝を選んで「
「裏武装闘気・武装化-黒キ盾-! ――シールドスウィング!」
裏の武装闘気で盾を作り出して魂魄の霸気の《影》で腕を作って盾を装備、盾に覇道の霸気を纏わせて騎士系四次元職の守護騎士帝が習得できる、前方に踏み込みながら構えた盾を振り回し、敵を打ち据える特技を発動する。
モーションに短距離移動が含まれている上に攻撃範囲が広く、上手く位置取りすれば複数の敵を同時に殴りつけることも可能ということで結構人気の特技なんだよねぇ、これ。盾の防御力が高くなるほどダメージも高くなり、ノックバックの効果もあるから防御力の高い幻想級の盾を愛用する人にとっては必須特技に数えられているみたいだよ。
通常でもそこそこの威力は出る筈だけど、「
「…………し、死ぬかと思ったでございます」
「えっ、今のでやられてないの? 金剛智證通と武装闘気でダメージを抑えて、内活智證通で体力を回復して持ち堪えた? 満身創痍みたいだけど、今のを耐えられるだけで十分凄いと思うよ」
ラーフェリアとメラルゥーナ、アルティナが全員で防御障壁を展開していたみたいだねぇ。男三人を捨てて一番可能性の高い族長のメアレイズに絞って防御を固めたみたいだけど、それでも己の一撃と「シールドスウィング」の威力をその身に受けたのに満身創痍で済んでいるのは異常だよ……本当にバグっているの? お前。
まあ、「
「今なのでございますッ! 一斉掃射!!」
「「これでうっさうさです!!」」
「ファイアトルネード! 狐火! ウチの妖術と火の竜巻魔法――新たな妖狐の可能性をとく味わえっス!」
「
「う、うう、ウチの狐火竜巻が、凍らされたっス!? な、なな、なんなんスか!? そんなの反則っス! 物理法則の中で戦えっス!!」
「妖術使いのお前が言うなよって話だよねぇ。――さて、ここからが正念場だよ! 『Eternal Fairytale On-line』ランキング一位、『完全制覇』のリーリエ相手に君達はどれくらい戦えるのかな? 最弱を卒業したんだ、どこまで自分達が戦えるか、知りたいよねぇ!?」
「目が逝っちゃってるっス! なんか変なスイッチ入って戦闘狂になっているっスが……でも、知りたいっス! 今のウチ達の本気、どうせ死なないんだから振り絞れるだけ力絞って、抗ってやるっス!」
やる気になったみたいだねぇ……もう君達を見て誰も最弱なんて見下すことはないだろう。
さて……次は何を仕掛けよっか?
全ての弾丸を見切りながら三人との距離を詰める。この程度、見気がなくても問題なく突破できるねぇ……ちょっと砲撃が短調かな? 連射にした弊害だねぇ。まあ、避けられる人の方が滅多にいないし、人外魔境のサブマスターはプレイヤースキルがチートだけどあれは希少種だからねぇ……そんな奴がいっぱいいたら運営さん困っちゃうよ。
「「ここから先は通行止めです! 行かせません! 【崩壊者】――地割れ!」」
「面白いッ! 地割れには地割れで対抗させてもらうよ! 裏武装闘気・武装化-黒キ鎚-!
鎚使い系四次元職の戦鎚帝の特技の一つを発動して、地面に地割れを発生させるほどの一撃を放つ。この特技には攻撃を放つまでの間のSTR値を三倍にする効果があるから並みの硬さじゃすぐに溶かされてちゃうんだよねぇ……そもそも、鎚使い系は通常特技の攻撃範囲が狭くて鎚の取り回しも難しいからあまり選択されない不遇職で使用人口が少ないから滅多にお目にかからないんだけど。
ちなみに、鎚士、大鎚士、戦鎚士、戦鎚帝と上昇していくけど、覚える特技の数は全職業中最下位で、属性攻撃も戦鎚士にならないと覚えられないという不遇っぷり……まあ、ここまで扱いにくくて鎚系の武器は他の職業――騎士系とか――が装備できるとなればわざわざ鎚使い系を選ぶことはないか。
まあ、北欧神話系に代表される巨人系モンスターから低確率でドロップできるレイドクラス特技習得用巻物「バニシング・ノック」、「スノウ・クラッシュ」、「フレア・クラッシュ」の三つはイベント職の棍棒士以外では鎚使い系くらいしか習得できないんだけどねが。
地割れ対決――勝者はボクの方だったみたいだねぇ。地面のヒビが広がってラーフェリアとメラルゥーナは亀裂に飲み込まれて消えていった。
「
……流石に這い上がって来られても困るし、魔法系四次元職の大魔導帝が習得する氷属性魔法の奥義を発動して、亀裂を丸々凍らせる。よし、二人撃破。
「き、鬼畜っス! 吸血鬼というか、悪魔っス! 魔王もびっくりの鬼畜っス!!」
「ねぇ知ってる? 悪魔の中にも真面目で、友達想いで、困っている人がいたら見捨てられないっていう優しい子もいるんだよ? あんまり悪魔を悪く言わないでもらえないかな? ヴィーネットちゃんに結構好感持っているんだよ?」
「なんか予想外の方向でダメ出しが入ったっス! 魔王もびっくりの鬼畜の方は否定しないんスか!?」
「……こんなにも優しくて慈悲深くて可愛い女の子っていないと思うけどねぇ。それを鬼畜なんて、本当に酷いことを仰りますわ」
「それ、自分で言っちゃダメな奴っス! 自分で言っちゃう人に優しい人なんていないっス!!」
……決まったねぇ。メアレイズとアルティナ――先に討伐するのはアルティナで決定。
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