第54話 喫茶店開店
懸案事項を片付けて非常にすっきりした。やはり『やるべきことを、やるべき時に、きちんとやる!』これだわ。
会社設立と前後したが、先に喫茶店が開業することになった。でき上がった真新しい看板がカッコいい。早朝の取り付け作業でこれまであったスタ〇の看板の場所に取り付けられた。
すでに店長以下4名のスタッフとの顔見せも終わっている。見た目若造の俺だが舐められるとまずいと思い、最初の挨拶時には眼鏡を外して挨拶した。眼鏡を外したところで一気に緊張が走ったがそれだけだ。制服という訳ではないが、茶色の胸からかけるお揃いのエプロンをみんなには配っている。
喫茶店内には、業務用冷蔵庫も有ったので、その中に『スタミナポーション(弱)』、『キュアポイズンポーション(弱)』、『キュアディジーズ(弱)』各ポーション当たり20本入り小箱を10個ほど入れている。なおポーション1瓶はどれも50シーシーだ。
ベースのメニューはコーヒー、コーラ、オレンジジュース、アップルジュース、グレープジュースの5種。こちらの料金は一律内税で100円とした。
これに対して、
+2なら20シーシー、+3なら30シーシーという具合に10シーシーずつ追加になり、料金もその分高くなり、最高は+3、3ショットということにした。
こんな感じに料金設定をした。
1ショット10シーシーあたりの価格表 開店セール
5月いっぱいは開店セールで、ポーション分については通常価格の3分の1とした。
+)スタミナポーションは元気が出るかも。
♡)キュアポイズンポーションはデトックス。二日酔いにお勧め。
☆)キュアディジーズポーションは風邪気味の方や花粉症にお悩みの方へお勧め。
ポーションという聞きなれない言葉でも大丈夫だろうという店員たちの勧めでこういったメニューにした。どこにも薬とは書いていないのでどこからも文句は出ないだろう。
初日の今日は、森本のおっちゃんが気を利かせて、開店祝いの花輪を何個か届けてくれた。あと、契約した飲料会社からも花輪が届いている。
「それでは、今日は開店初日です。頑張ってまいりましょう」
店長の号令の元、喫茶店『KIRY-YA』がスタートした。店の前には、森本のおっちゃんが手配したエキストラ、いわゆるサクラが10人ほどスタンバイしている。この10人はどこかの俳優養成学校の生徒達たちだそうで昼まで半日5000円で雇っているそうだ。そのほかにも、新装開店の物珍しさか5、6名ほど立ち止まって店を覗いてみるか迷っているように見える。
「取り敢えず、1番の元気が出るヤツ、1番安いので、ベースはそうだな、コーラにするか」
サクラの1人が段取り通り大きな声で注文をした。さすがに1番バッターに選ばれただけあり素人臭さはない。
「はい、コーラベース、
代金を支払い、店員から渡されたコーラを一口飲んだサクラ君、
「味は、ただのコーラだ。……な、なんだ? 体がなんか軽い? おいどうなってるんだ?」
後半の言葉は本当に困惑してしまったような声だった。うまいじゃないか。これならきみは次のオーディションで採用されるんじゃないか?
「おい、1口だけ飲んでみろよ。1口だけだぞ」
サクラくんに勧められた隣のサクラくんがカップを受け取って1口、口にした。
「んん? ん? 何だー? これ
「俺にも、コーラ味で、俺は
「はい、コーラベース、
店内いたるところで驚きの声が上がる。ここの演劇学校の生徒たち、かなりすごい連中なのか? 本気で驚いているように見える。
「あれ? 目がかゆくなくなった。? 鼻水も止まってる」
店内各所で嬉しい悲鳴が上がっている。これだけ店の中が盛り上がっていると、目の前の駅に出入りする通行人の目にもとまるようで、ちらほらエキストラではない本当のお客さんも入店し始めた。
流れが出来ると早い。あれよあれよという間に、店が一杯になって来たので、エキストラは1人、2人と店から出て行ってもらった。
初日は大成功。
客の入りも下火になることは有っても途切れることはなかった。途中様子を見に来た中川や村田も店の盛況ぶりに驚いたようだ。これがウィークデーにでもなれば通勤の人も店の前を通るので客足はもっと増えそうで楽しみだ。店員たちの仕事は、サーバーからジュースをカップに注ぎ、メジャーカップでポーションを計ってカップに追加して客に手渡して勘定をするだけだ。あとは手すきの時に店内の清掃をするくらいなのでそれほど負担になっているようには見えない。
店長も含めて4人もいるので別に問題はないだろう。今日の開店は日曜でもあることで朝9時開店としたが、明日から朝7時開店、夜8時閉店としたので客の入りが続くようならローテを考えてもう1、2名アルバイトを雇う必要がありそうだがそこらへんは店長に任せている。
初日だというので開店前から様子を見ていたのだが、これなら大丈夫。
1時間ほど様子を見た後、事務所に引き上げ森本のおっちゃんにお礼の電話をかけた後、ポーションの箱を余分に補充して今日の俺のしなくてはならない業務は終了した。
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