第11話 懲罰行動2
「マスター、第1、第2制空飛空艇隊、アガタリア王国、王都アガリアの飛竜隊を撃破し制空権を奪取しました。防空設備を発見し次第個別に攻撃します。制空飛空艇隊により撃破され墜落した飛竜により王都内の民間施設に若干の損害が出たようです」
「愚か者が国のトップだったんだ、恨むならそいつらを恨んでくれ。じきにその愚か者もいなくなるだろがな」
上空で戦いが始まった当初は、多くの王都民が通りに出て一時は歓声を上げて上空で繰り広げられる飛竜隊の戦う様子を眺めていたが、なすすべもなく次々と墜落する飛竜たちの姿に
そうした住民が避難したある民家に、頭部を吹き飛ばされた飛竜が墜落し、屋根を突き破られたその民家から煙が上がっている。その内部からはうめき声も聞こえてくるが助けの手はない。
石畳に墜落した飛竜は墜落の衝撃で辺りに肉片をぶちまけている。一度、通り沿いの民家の壁にねっとりとくっ付いた肉片が、血の跡を残しながらゆっくりと滑り落ちベシャリと音を立てた。飛竜に搭乗してた操竜騎兵も飛び散った肉片の一部になってしまい、もはや何の部位か、誰の肉片か見分けがつかなくなってしまっている。
制空飛空艇隊に対する散発的な迎撃もすぐに鎮圧され
「爆撃飛空艇1号艇から4号艇、順に王城上空に侵入、爆撃開始します」
爆撃飛空艇は1隻あたり100トンのペイロードを持つ。それが4隻。上空から投下された爆弾は、尾部に取り付けられた風切り羽により不気味な音を立てながら落下していく。500キロ爆弾160発、250キロ爆弾800発、100キロ爆弾1200発。総量400トンの硬式爆弾が城壁に囲まれた石造りの王城を破壊しつくした。市街でこの音を聞いた王国民は耳を塞いでみなうずくまって音の鳴りやむのを待つばかりだった。
「王城の完全破壊完了。撤収します」
「爆撃飛空艇5号艇から8号艇、順に王城上空に侵入、爆撃開始します」
後続の4隻が総量400トンの焼夷爆弾をばらまいていく。
「王城跡全域に火災発生を確認。撤収します」
「マスター、王都アガリアの王城完全破壊を確認しました。制空飛空艇隊及び爆撃飛空艇帰投します。マスターがいつも仰っている、更地にできたようです」
「そうだ、やるなら更地にだ。よくやった」
「マスター、接近していた、敵6個師団は進軍を停止した模様です」
「魔導師団はすでに撤退を開始しています」
「敵、軍団司令部位置特定できました」
アインや各オペレーター達から、次々に報告が入ってくる。
「マスター、第1防衛線に接近してきた敵陸上部隊はいかがされますか?」
「一般部隊はまだ何もしていないから見逃してやれ。魔法をぶっ放してきた魔導師団については森を出たところで帰って来た制空飛空艇で適当にあしらってやれ、殲滅する必要はない。死体はお持ち帰りしてもらいたいからな」
「了解しました。
第1、第2制空飛空艇隊、帰投前に敵魔導師団に対地攻撃。敵損耗率30%を目標とする。敵位置情報を送信する」
通常は30%も損耗したら、部隊は全滅判定だ。当分再起できまい。おそらく、アガタリアは近々周辺国に併呑されるだろうな。好きにしてくれ。
トンデモ国家にいた間に俺の心も壊れてしまったのだろう。やられたらやり返す。ためらいはない。
……
勇者パーティーを適当にあしらうよう送り出したフュアの活躍?も横目でモニター越しに眺めていたのだが、フュアがあんな性格とは知らなかった。あいつの性格は俺に似すぎてしまったようだ。
ケガはさせるなとしかいってなかったからかもしれないが、武器破壊はないだろ。あいつらの持ってた武器はあれでもアーティファクトだったんだろうに。勇者パーティー(笑)涙目だったよ。
……
ん。もう少しで夕飯時か、家に帰るとするか。
「アイン、俺はそろそろ向こうの家に帰るからあとはよろしく。フュアが帰ってきたらよくやったと俺がほめていたと伝えておいてくれ」
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