第49話 戦闘開始

エディオン達が、ギルド長の俺に報告を上げてから二日......。


俺とマリカはその間、近隣の街の冒険者ギルドに冒険者の手配を頼んだり、領主の屋敷に行き騎士団の招集などを話し合った。


そして今朝、偵察と監視に出していた斥候からオークの集落に動きがあったとの報告が送られて来た。


「いよいよだな。マリカ、緊急事態宣言を出すように領主に頼んで来てくれ」


「分かりました。急いで行ってきます」


「さて、俺は冒険者達をまとめないとな」


俺は街で待機して貰っている冒険者達に招集を掛ける為に、この街に設置させているギルド専用の鐘を鳴らす。


ゴーン! ゴーン! ゴーン!



「緊急招集の鐘が鳴らされたね」


「オークの集落に動きがあったということでしょうか」


「先日の感じだと、もう少し先かと思っていたのですが」


やっと確保出来た宿の部屋で、俺達は緊急招集の鐘の音を聞いていた。



鐘の音が鳴り終わると、俺達は急いで装備を整え冒険者ギルドへと向かった。

そして、ギルドに到着すると職員から訓練場の方へ行くようにと指示を受けた。



時間とともにギルドの訓練場には、続々と冒険者達が集まってくる。



「Aランクの冒険者の皆さんは一番前の方へ、Bランクの冒険者の方はその後ろにとランクごとに集まっておいて下さい」


ギルド職員が拡声器を使って、冒険者達が自由行動をしないように指示を出していた。

まぁ、中には言う事を利かない奴も居るからだろう。


そんな中、ギルド長のフランクが拡声器を手に持って壇上へと上がってきた。


「俺は、ここランドリンの冒険者ギルドのギルド長フランクだ。

緊急招集に応じて、ここに集まってくれた冒険者諸君の全てに感謝する。

早速だが、Aランクの冒険者は直ぐに現地に向かって欲しい。

1時間後、Bランクの冒険者には前線の物資を輸送してもらう。

更に1時間後、Cランク、Dランクの冒険者で後方支援の物資を輸送してもらう。

以上だ!」


今回の移動と輸送に関しては街中の各種馬車が無償で提供されている。



二日後......。


第1陣として、俺達Aランクの冒険者が斥候達の居る拠点へと到着した。


その後は、1時間ごとに後続が到着すると、日が暮れるまでの間に拠点の整備までの全ての作業を完了した。


今回、討伐の指揮を執っているのは副ギルド長のデヴィッドさんだ。


「冒険者諸君ご苦労だった。明日は朝から、討伐を開始する。

今夜は、移動の疲れが残らないようにしっかりと休んで明日に備えてくれ」


◇◇◇◇◇


「もう直ぐ林の奥から第一波目の魔物の集団が出てきます」


斥候に出ていた、冒険者が状況を伝えてくる。


草原の際で待機してしていた俺達冒険者は始まる戦闘に備えて装備を確認して置く。


「来ます‼」斥候の冒険者が大声で叫んだ。


遠見で林の方を確認していたが、第1陣はゴブリンとウルフ系の集団のようだ。


俺達は左サイドに配置されていて、威力の大きい魔法を使うことが許可されていたので遠慮なく使わせてもらう。


とは言っても、味方の視界を悪くするような魔法は使用できないので、風魔法の風刃の威力を上げて切り裂いていた。


40分程で第一の波が終わり、前線での休息を取る。


その後、第二波目の魔物の集団がやってきたが、この日はそれが最後だった。


そして、拠点へと戻ってきた俺達は夕食を済ませると翌日に備えて眠りに就いた。


野営の見張り役は、Dランクの冒険者達が交替で行うことになっている。

彼らにとっては、経験値稼ぎも兼ねているようだ。



翌日......。


ついに、オーク本体に動きが出したらしく、朝方の拠点で俺達冒険者は慌ただしく戦闘の準備に追われていた。


「さぁ、俺達も準備が出来たし行くとするか」


「エディオン様。今日も魔法中心でいくのですか」


「いや、今日は剣がメインで魔法は補助的な感じかな」


昨日は、討伐のスピードを上げる為に魔法を中心に戦ったが、今日はオーク本体が出てくるので剣で戦う事にした。



第一波目のオークが林から現れた。


数にすると約50体ほどだろう。



「来るぞー。気合を入れて倒しまくれ」


俺達も得意な剣を手に、オークとの戦いに参戦した。


ドルフさんが鍛えた剣に俺は風魔法の風刃を纏わせながら、一振り又は二振りで切り伏せて行く。


ソフィアとヘザーさんも、俺と余り変わらないペースで切り伏せて行く。


それでも、後方に抜けていくオークはいるので、俺達の後方にいるBランクの冒険者パーティー達が一体づつ対応していた。


周りに視線を向けると、Aランクの冒険者パーティー達も一体づつ対応している。


俺達の戦い方がおかしいのか...?


側に居る二人を見ても、周りの状況を気にしている様子はないので、俺も気にしないようにして、更にオークを一振り又は二振りで切り伏せて行った。



この日は、オーク60体が林を抜けて来たところで、戦闘は終了となった。

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