第147話 離婚した母親と会いたい
今日の患者は今川由紀22歳である。
渋沢吾郎:どうしましたか?
今川由紀:離婚した母親と会いたいです。
今日、夢を見たんです。母親とケンタッキーを食べてる夢でした。
でも私はバイトがあって今からだと食べられないやと答えると言ってくれてたら明日買いに行ったのにと苦笑いしながら食べてました。
そんな些細なことを夢に見るくらい会いたいです。
今は経済的理由で父の元にいるのですが、時々母に会いたくてたまりません。
でも離婚した理由が母親に好きな人が出来たからで、私は母親の女の部分をどうしても受け止めきれなかったんです。
再婚予定の相手と顔合わせもしましたがどうしても性格などが気に入らず、でも母親がそれで楽しそうなら、幸せなら…と見送りました。
離婚した方が家族的に円満を迎えたので、離婚はしてよかったと思うのですが、
それでも距離があいてるので時々寂しさが込み上げて1人泣いたりします。
20歳超えてるのに情けない話です。
一緒にまたご飯食べに行ったり服買いに行きたい。緑内障になったって言ってたから大丈夫かな、眼圧あれから上がってないといいな…目が見えるうちに色んなところに連れていきたい…。
でも母はあの人と過ごしてた方が楽しいだろうな…もう私たち兄弟のこととかそんなに思ってないのかな…とか不安や悲しみに押しつぶされてしまいます。
母からのLINEもほとんど来ません。
自分から連絡した時しか返事が来ません。
もう愛想が尽きたのでしょうか。
今なコロナもあるのですぐには会いに行けませんが、コロナが落ち着いたところで逢いに行くのも躊躇います。
他の兄弟は特に気にしてない様子なので、私だけがこんなふうに悲しんでるのかと思うとなんとも言えない気持ちです。
でも母親の女の部分を見るのが怖いです。
私たちのことをもう興味がないと身体が表現してるみたいで、生々しくて、吐き気もします。
母親のこと素直に応援できない私は最低な娘ですね。
それでも会いたいなんていうのはわがままですよね。母にも迷惑をかけてしまうでしょうか。
渋沢吾郎:会いたいとは言えないのですか?
今川由紀:言えないです。
渋沢吾郎:母親と父親はどうしてうまくいかなかったんでしょうね。
今川由紀:わからないです。
渋沢吾郎:でも、今、LINEでこっちから連絡したら返事が来るんですよね。
今川由紀:はい。
渋沢吾郎:LINEでは文章が短いのでメールであなたの気持ちを書いてみてはどうですか?今でもあなたの娘ですと。
今川由紀:そうですね。LINEだと文章が短いから、メールで私の気持ちを書いた方がいいかもしれませんね。
渋沢吾郎:そうしてみて下さい。あなたの会いたいという気持ちは相手も母親なので届くと思います。LINEでたまに連絡できるぐらいですから。では、今日はこれでいいですね。
今川由紀:はい。ありがとうございます。
と、今川由紀は何か思いついたように帰っていった。
夜、清子は残業があっていないため、吾郎は先にご飯を食べビールを飲んで子供たちと話をして、寝た。
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