第131話 部下のミスじゃなかったのに大声でみんなの前で攻めて恥をかけてしまった

 今日の患者は市原太郎35歳である。

渋沢吾郎:どうしましたか?

市原太郎:これは部下の言う通りにしないといけないのでしょうか?昨日、ミスをした部下を叱りました。それも社員全員の目の前で大声を出して。その部下は皆の前で大声で叱責されたのが恥ずかしかったのか少し泣いてしまいました。しかし私は少しくらい恥ずかしい思いをさせた方が良い薬になるだろうと思って皆の前で叱責しました。しかし今日になって、そのミスは昨日叱った部下は全く悪くなかった事が分かりました。つまり私は何の罪も無い部下を大勢の前で叱って泣かせてしまったのです。

同僚に「ちゃんと謝った方がいいぞ」と言われ、私は昼休みに誰もいない会議室に部下を呼び出して謝罪しました。しかし部下は許してくれませんでした。そしてこんな事を言ってきました。「僕を怒る時は皆の前で大声で怒ったくせに、謝る時は誰もいない会議室でコソコソ謝罪するなんてズルくないですか?僕は皆の前で大恥をかいたんですよ。謝るのであれば昨日みたいに皆の前で大声で謝って先輩(私)も大恥をかいて下さいよ!」と言ってきたんです。私は何も言い返せないまま「分かった」と言ってしまいました。これは部下の言う通り、ちゃんと皆の前で謝って恥をかかなきゃいけないのでしょうか?

渋沢吾郎:そうですね。部下は恥ずかしいだけではなく悔しい思いもしたのでしょう。あなたもみんなの前で謝るべきです。ですが、そういう非を認めて逆に高評価される場合があります。そうなるような謝り方をすればいいのではありませんか?なんであなたが間違ってその部下を攻めてしまったのかの説明をすれば納得がいくと思います。

市原太郎:なるほど。解りました。そうしてみます。

 と、市原太郎はがっくりして帰っていった。

 そして夜、吾郎は清子と話した。

渋沢吾郎:なんかみんなの前で恥をかかせるってどうなのかと俺は思う。

渋沢清子:そうよね。何事も判断を誤らないようにしないとね。

渋沢吾郎:そうなんだよな。直前の判断が大事なんだよな。

渋沢清子:じゃあ、今日、私何したいかわかる?判断間違えないようにできる?

渋沢吾郎:こういうことだろ。

 と、吾郎は清子の肩を後ろから抱いた。

渋沢清子:ナイス判断。

 と、今日も吾郎と清子はイチャツイテいたのであった。










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