第84話 失言
今日の患者田端辰夫20歳である。
渋沢吾郎:どうしましたか?
田端辰夫:実は後悔していることがあります。
渋沢吾郎:なんですか?
田端辰夫:愛している人に「なめているの」って言った事です。
渋沢吾郎:で、その人とは付き合っていたのですか?
田端辰夫:付き合ってはいませんが、高校のときその女の子はそばにいました。
渋沢吾郎:で、なにが原因で「なめているの」と言ったのですか?
田端辰夫:実はその女の子を自分の知り合いが好きになっていまして、自分がその女の子にふられた後に、その知り合いとは話して、話し合いの結果、自分はふられていたので、その知り合いに譲りました。で、自分は綺麗に別れたかったのですが、その女の子が知り合いの男ではなく別の男と付き合っていた感じだったので、思わず「なめているの」と言う言葉が出ました。自分は正直失敗したと思っています。
渋沢吾郎:なんで、失敗したと思ったのですか?
田端辰夫:その後,自分は自分で突き放した事で調子が悪くなりした。で、大学も休んで単位が取れない状態になりました。
渋沢吾郎:女の子にふられてから、他の女性は考えなかったのですか?
田端辰夫:綺麗に別れてからと思っていました。でも、「なめているの」言ってしまって。その後に自分の悪口が噂になったので,他の友達の女の子に「自分のせいで女性の人間関係がおかしくなっていない?」とって、自分は他の女の子との友達関係を切ってしまいました。それで、自分は完全に調子悪くなりました。渋沢先生、どうしたらいいですか?
渋沢吾郎:まあ、これは時間が解決すると思います。でも、他の女の子との友達関係と切ってしまったのは、あなたには女の子の友達がいたちということですね。
田端辰夫:はい。ですが、私は誰か彼女ができたら、男女関係無く友達を作るつもりでいました。
渋沢吾郎:なるほど。彼女という土台が必要ということですね。
田端辰夫:はい。彼女がいれば強くなれる自分がいる気がします。それはどう思いますか?
渋沢吾郎:確かにそうですね。では、サークル吾郎へ来てみますか?
田端辰夫:サークル吾郎ですか。どういうところですか?
渋沢吾郎:いろんな目的がある人が集まって、仲間、恋人を作るサークルです。きっとあなたに合う人ができると思います。そしたら、その愛していた人よりももっといい人ができると思います。もう、その女の子と信頼関係がありません。その女の子はもう考えない事がいいでしょう。あなたの悪口を広めたのだから言ったのですから、その女の子はやめた方がいいと思います。
田端辰夫:・・・・・・。わかりました。
渋沢吾郎:では、サークル吾郎にはきますか?
田端辰夫:行こうと思います。
渋沢吾郎:では、今日はいいですね。
田端辰夫:はい。有難うございます。
と、田端辰夫のカウンセリングは終わった。その夜吾郎は清子と話した。
渋沢吾郎:なあ、清子。どうおもう?自分は「なめているの」は失敗だったと思うが。
渋沢清子:そうよね。どんな時でも女の子には優しくなきゃね。
渋沢吾郎:でも、俺は田端君の気持ちもわかる気がする。
渋沢清子:でも、私はソフトに分かれたほうが良かった気がする。
渋沢吾郎:でも、気持ちが出たということは、田端さんはその女の子を愛していたんだなと思う。
渋沢清子:でも、その言葉は禁句よ。こんりんざい言っちゃ駄目よ。
渋沢吾郎:そうだな。もう言わないと思う。女の子に暴言を言って傷つくのは自分だからな。
渋沢清子:でも、恋愛はむずかしいよね。
渋沢吾郎:その女の子に振られた後、他の女の子の誰か彼女になって欲しかったらしいけど、出来なかったよな。
渋沢清子:でも、田端君はそんなに彼女が欲しかったの?
渋沢吾郎:まあ、彼女が出来れば精神が安定するからな。田端君は本能的に気づいていたんじゃないか?
渋沢清子:でも、若い頃はわかっていないことが多いからしょうがないよね。
渋沢吾郎:若いから恋愛のうんちくがわからなかったんじゃないか?
渋沢清子:でも、相手の気持ちがわかる人にならなきゃね。そうじゃなきゃ恋愛はうまくいかないわよ。
渋沢吾郎:清子。理想を言い過ぎ。そうじゃないから患者が多いんだよ。
渋沢清子:でも、あなたは相手の気持ちにこたえようとしている。
渋沢吾郎:それはカウンセラーだからだよ。
渋沢清子:そうだよね。そういうことだよね。
渋沢吾郎:じゃあ、今日はこのくらいにしておくか。
と、二人もドリームナイトを過ごした。
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