第82話 ある人への思い
今日の患者は橋本京子23歳である.
渋沢吾郎:どうしましたか?
橋本京子:いえ、失恋した感じがします。
渋沢吾郎:で、相手の男性はあなたを振ったのですか?
橋本京子:いえ、ふられていません。
渋沢吾郎:では、なんでそう思ったのですか?
橋本京子:私の好きな男性がある女の子と仲良くしてるのです。
渋沢吾郎:で、その女の子とあなたの好きな男性とどこで知り合ったのですか?
橋本京子:新しい職場にきました.
渋沢吾郎:で、あなたと、その男性は中が良かったのですか?
橋本京子:分かりません。
渋沢吾郎:でも、その男性はその女の子と中がいいと言っても仕事上の付き合いだけではないのでは?
橋本京子:でも、・・・・・・。
渋沢吾郎:では、確認はしましたか?
橋本京子:いえ、していません.何かふられる気がします.
渋沢吾郎:ですが、それはあなたが勝手に思っているだけではないでしょうか?
橋本京子:そうですか?
渋沢吾郎:あなたが勝手に決め付けているだけで、その男性はその女性を彼女にするかどうかは決めていないと思います。あなたが積極的に接する事があなたにとって一番いい気がします。どうでしょうか?
橋本京子:そうですね。更に積極的にいこうと思います。
渋沢吾郎:ではこれでいいですか?
橋本京子:はい。
と、今日の吾郎の診察は終わった。その夜、吾郎は清子と話した。
渋沢吾郎:なあ、清子。恋愛って複雑だな。
渋沢清子:そうよね。でも、大人になるわよ。人を見る目がつくし・・・.
渋沢吾郎:ですが、その男性も大変だな。女心が分からないという非難を食らっているのだろうな。
渋沢清子:だけど、その男性はその人なりのルールがある気がする。私の情報では、その男性と沢山話している人は全然いないらしいよ。その男性は分かってくれる人が欲しいのに。
渋沢吾郎:そうだな。だが、どっからそんな情報を仕入れてくるんだ?
渋沢清子:内緒。男子立入禁止。
渋沢吾郎:俺にも内緒なのか?
渋沢清子:あなたも分かっているでしょ。女の話に突っ込むべきじゃないって。
渋沢吾郎:だよな。今日のところはこれで勘弁してやる。
渋沢清子:私は悪くないって。
渋沢吾郎:冗談。・・・・・・.
渋沢清子:でも、その男性は結局の所、なにに考えているかはわかんないみたい。
渋沢吾郎:話をしないで決め付けられるって辛いな。その男性も辛い思いをしているだろうな。
渋沢清子:そうね。私はその男性は常に成長している気がする。だけど、成長に心がついていかないのも事実。でも、頑張ろうとしているから、私はいいと思う。
渋沢吾郎:そうだな。じゃあ、この辺で終わりにしようと思う。今日の授業は終わり。
渋沢清子:授業って何の授業よ?
渋沢吾郎:恋愛心理学。
渋沢清子:なるほどね。じゃあ、とにかく今日の夜はこの辺で終わろうか。
渋沢吾郎:そうだな。今日の夜も優しくしてあげる。
渋沢清子:あなた、愛しているよ。
渋沢吾郎:おれも。
と、二人は今日もドリームナイトを過ごした。
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