第42話 夢も希望も無い

 次の患者は、近藤義男37歳である。

渋沢吾郎:今日はどうしました?

近藤義男:夢も希望もありません。

渋沢吾郎:何があったのですか?

近藤義男:私も持っているものが奪われています。しかも、相手は自分の名声を利用しているので、私のものなのに奪われて夢も希望も無いです。

渋沢吾郎:そうですか。とんだ大悪人ですね。

近藤義男:しかも、相手は裏でどんどん手を回しています。

渋沢吾郎:そうですか。

近藤義男:頑張れば頑張るほど相手の評価になるのです。そして自分がひどい目にあうのです。どう思いますか?この状況は。

渋沢吾郎:こういう場合はどうしょうもないですね。一つの案はどこか強い味方がいるといいですね。

近藤義男:私にはそういう運がないのです。全部持っていかれるのです。夢も希望もありません。

渋沢吾郎:確かに。そんな中で、生きるのは辛いですね。この世の中に法がないのと同じですね。

近藤義男:しかも、相手は話のわかる相手ではありません。

渋沢吾郎:やっぱり、強い味方が必要ですね。運を天に任せて、信じてやるしかないようですね。

近藤義男:ですが、それは何も無いところからは湧いてこないのではありませんか?

渋沢吾郎:そんなことはありませんよ。世の中は互いに影響しあって生きています。自分が全くの一人になるということは自分が犯罪を犯してない限りありえません。

近藤義男:ですが、相手はどんどんひどくなるばかりです。

渋沢吾郎:ここは、天を信じるしかないかもしれません。

近藤義男:しかし、見えないものを信じろといわれても・・・。

渋沢吾郎:確かに目には見えません。ですが、天というものはそれほどむごいものではありません。全てわかっています。人生には壁がつき物です。その壁に対して弱音を吐くことはあります。死にたいと思うこともあります。しかし、生きている限り口では弱音を吐いても、前に進むべきだと思います。

近藤義男:わかりました。信じてみます。

渋沢吾郎:では、今日はこれでいいですね。

近藤義男:ありがとうございます。

 と近藤義男のカウンセリングは終わった。


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