第365話
私達は、背中に生やしていた炎で作られた翼を羽ばたかせると上空に停滞し右手に携えている槍を投擲する構えを取る。
槍の周囲の赤い雷光は、急速にその力を増していく。それと共に空間に亀裂が入り周囲の力を食らい尽くしていく。
「「穿つは天輪!破城せしは天宝!全てを燃やし砕け!神滅(ラグナロク)の激槍(ブレイカー)!」」
右手より放たれた神器が、エンハスが私達に向けて放った光のブレスを燃やし尽くし作られていた光弾を砕き破砕しエンハスの体に突き刺さり巨大な赤い炎の柱を天高く作り上げていく。
―――ぐおおおおおおおおおおお
エンハスの絶叫が頭の中に鳴り響く。
私達はそれを聞きながらすぐに地上におり神衣を解除する。
全ての力を使い切ったのかコルクはその場で座りこんでしまう。
「ユウティーシア!」
私を呼ぶクラウス様の手を握り神衣化を行う。
「「神霊融合!!」」
神衣化した私とクラウス様は、漆黒の炎に包まれているエンハスを見上げながらすぐに互いの心をリンクさせ術式を編みこむ。
クラウス様の属性である地の力と風の力である私の力が合わさりそれが巨大な崩壊現象を引き起こす力を生み出し手に持つ弓に伝わっていく。
背後に展開していた数十に及ぶ増幅ビット機は、私達の前方に展開すると魔方陣を作り上げる。
手にした弓を引きながら生成されていくは崩壊現象を付与した力。
狙いをエンハスに絞り……。
「「穿つは天輪!崩壊せしは天宝!全てを射抜け地裂のジリオン!神滅(ラグナロク)の一閃(ブレイカー)!!」」
放たれた崩壊現象を付与された矢が、増幅ビットに接触すると同時に数十の閃光となって全てが光龍エンハスに突き刺さった。
突き刺さった光の閃光が光龍エンハスの体を破壊していく。
―――おのれ!人間風情が!
エンハスの獣染みた声が周囲に響き渡り周辺の大地や建物などが形を失い消滅していく。
(物質分解能力?)
「いえ、あれは恐らく、精神エネルギーを取り込んで力に変えていると思います。ですが恐らく、力を取り戻しても神としての肉体再生には時間がかかるはずです」
クラウス様の言葉に、私は答えながらも神衣の力を使い切った事で強制的に私とクラウス様の神衣は解除されてしまう。
力を使い切ったクラウス様はその場で膝をついてしまう。
「しばらく休んでいてください」
私はクラウス様から離れるとアリアに視線を向けた。
互いに頷きあい手を握り合い言葉を告げる。
「「神霊融合!」
時が止まり、光が集約し物質と化し光る羽が舞い散る。
中から現れた姿は、光るドレスを身に纏った成長した姿のユウティーシアであり、手には光る雷光を纏わせている白銀の杖を携えている。
神衣を行った事で停止していた世界は、元の色合いを取り戻し時を刻む。
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