第361話
「私の話を聞けええええええ」
エンハスを無視していたら彼女から不可視の刃が放たれてきたが、すでにその対抗魔法は組み上げている。
「グラビディ!」
私が魔法を展開した途端、不可視の刃は超重力の影響で部屋の床に叩きつけられ霧散した。
「クッ……!」
不利だと察したのかエンハスは部屋の中から転移して消えた。
すぐに音響を飛ばし彼女の行方を追う。
すると上空5千メートルの位置にエンハスの存在を確認する。
「ユウティーシア!」
入れ替わり扉から入ってきたのはクラウス様であった。
「おかしな魔力結界を感じたのですぐに来てみたのだが……敵はいないようだな?」
私はクラウス様の言葉に頭を振る。
「いえ、彼女は上空にいます。どうやらかなり強力な神術を使ってくるようです。それよりレオナとアリアは?」
「レオナはロウトゥの後を追っている。アリアは、コルクと行動を共にしている」
クラウス様の言葉を聴きながら私は考える。
相手は三下と言えど、一応は八百万の神々の一柱だ。
それが使う神術となればかなりの力のはずだ。
「クラウス様、すぐに船を移動させてください。この船に直撃した場合の被害が予想がつきません。私は、エンハスと最後の決着をつけて参ります」
「勝算はあるのか?その身を犠牲にして倒すつもりなら……」
クラウス様の言葉を私は彼の唇に一刺し指を当てる事で止める。
「勝算はあります。今の私ならあの程度の三下の三流役者に負ける事はありません。それに私は決めたんです、自身を犠牲にして誰かを守るよりも誰かと共に生きる為に戦うと」
じっと私の言葉を聞きながらクラウス様は軽く息を吐くと私の耳元に顔を近づけてきた。
「分かった、だが危なくなったら助けるからな。いいな?」
「はい!」
耳元で言わないでほしい、ドキドキしてしまいます。
クラウス様はすぐに私から離れるとブリッジに転移していった。
「我、編むは転移の鼓動……求むは森羅の時の歩み……転移法典」
本来のユウティーシアより渡された先史文明の魔法と魔力を使い私は一瞬でエンハスの前に移動した。
そして、やっと今まで転移が使えなかった理由がようやく理解出来た。
この魔術は生きてる人間には使えない。
体に負荷がかかりすぎる。
細胞が精神エネルギーで構成されているメディデータのみが使える魔法なのだろう。
でも今の私なら使える、杖から供給されてくる力が瞬時に破裂した内臓や心臓を修復していく。
そして目の前に現れた私を見て、エンハスは目を見開いている。
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