第301話
「いえいえいえいえ、まってください!正規に依頼を受けて成功したのに失敗したとするんですか?そんなの認められる訳ないじゃないですか!」
デスヨネー、ならどうしようかな、もうあれしかないよな……。
「実は、隠してましたけどこの冒険者ギルドカード借りてた物なんです。ですから今回の依頼受注は無効ってことでお願いできませんか?」
俺のこの言葉で冒険者ギルドの内部がシーンと静まり返った。冒険者ギルドカードを借りるくらいならいいが、それで依頼を受注して成功させておいて無効にしてくださいと言う。
そんなギルド始まって以来の言葉はそれ程、全員に衝撃的であった。
「貴女は自分が何を言ってるのか分かってるのですか?冒険者ギルドの運営を邪魔しただけではなく冒険者の「そのくらいにしておけ」」
声がした方向へ視線を向けるとそこにはレオナが居た。
「だれですか貴女は?……」
「クサナギ殿が気を聞かせて言ってるんだ、だまってろ!」
レオナがギルド入り口から大股で俺の所まで来ると職員の前に金貨の入った袋を叩き付けた。
「依頼達成が出来なかった場合の違約金貨100枚だ。これで文句はないだろう?」
レオナの言葉にギルド職員は、あまりの展開の速さについていけず固まっていた。
「クサナギ殿、あまりゴタゴタを起こさないようにと伝えておいたのに少しは自重してください。それとこれ忘れ物です」
俺は、レオナが差し出した聖女ユウティーシア・フォン・シュトロハイムと書かれた聖女認定書を受け取りレオナから借りていた冒険者カードを差し出す。
「すいません、レオナ。これ返しますね」
レオナは俺が差し出した冒険者ギルドカードを受け取った。その様子に
「え?聖女様?本物の?」
「それじゃあっちが本物の勇者?」
など聞こえてくる。冒険者ギルドのカウンターに座っていた受付担当者なんて顔を真っ青にしている。
「えっと、本当にご迷惑をかけてしまってすいませんでした。実は、私の護衛が他の事件を解決してる間に女性が連続失踪すると言う事件もあったので代わりに私が受けていたのです」
俺の言葉に、顔を真っ青にしていた受付嬢はますます顔色を悪くしていく。つまりこれは大陸全体に影響力を持つ聖女と勇者が困ってる人を善意で助けたんですよ?それに対して貴女はお金を要求してきてますがどうなんですか?と言う意味になってしまうのだ。なんという権力の乱用、ひどいな。
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