第287話
日没後、唐突に俺とレオナは気配を感じることとなる。
「クサナギ殿!」
「わかってる」
俺は、レオナの言葉を聞き立ち上がった。ミトコンドリアに命じて体内の細胞を組み替え聴力を引き上げていく。
「こちらへ迫ってくる人数は騎馬兵のようだ。数は、30というところか?」
すでに異常に気がついていた護衛の兵士や騎士達が手に剣や盾を持ち用意をしていたが……。
「クサナギ殿、ここは町に近いため相手が視認可能な範囲に入るまで様子を見ましょう」
たしかにそれも良いかも知れないが……これって盗賊なら倒してお金になるんじゃないのかな?
「レオナ、考えたんですけど」
「盗賊を倒してお金を剥ぎ取ろうとしてるんですね、そんな事は絶対だめです。曲がりなりにもクサナギ様は教会本部法皇アリア様から直接、聖女認定証まで発行されてるんですから。そんな人が盗賊とは言え殴ってお金の剥ぎ取りなんてしてたら大問題です」
「―――あ、はい……」
だからバレないうちにダッシュで近づいて稼ごうとしたのに……。仕方ない、戦えないなら攻めて視界だけでも良くするか。
「種火(トーチ)」
使用魔力量を通常の1万倍に増やした物を上空に20個ほど作り出して打ち出す。それらは上空で光を放ち周辺を真昼のように照らし出す。俺を護衛していた騎士達が驚いた表情で俺を見てきていてレオナは呆れた顔で見ているがこのくらいいいではないか。
「身体強化魔術(パワーオヴデフィンス)」
兵士たちや騎士達のステータスを100倍に引き上げておく。アルゴ公国の騎士達は以前にも俺がかけておいたので祝福(ブレス)をまた受けたくらいにしか感じてはいなかったようだが、ルゼンド総督府がつけてくれた兵士たちは初めての感覚からかなり驚いているようであった。
「皆さん、がんばってくさいね」
俺はニコリと微笑むだけにした。これだけしておけば戦闘になっても問題ないだろう。むしろ夜盗だったら倒すだけ倒して夜盗の拠点を吐かせてから深夜一人で強襲かければお金稼げるかもしれない。
夜盗すばらしいな……俺の財布じゃないか。
しばらくすると姿を現したのは黄色い布を右腕に巻いた皮の鎧を纏った兵士達で一人が近づいてくるとレオナと話を始めていた。
「聖女様、どうやら夜盗ではないようです」
夜盗じゃないのか、それは残念。レオナの冒険者カード借りて冒険者のクエストしてお金でも稼ぐかな……。
そんな事を考えているとレオナが近づいてきた。
「クサナギ殿、どうやら彼らは某たちに緊急の用があったようです。某たちが向かっております衛星都市ハントで疫病が発生していてクサナギ様のお力を借りたいと」
ふむ。なるほど……給金は出るのかな?
「そうですか。困ってる人を助けるのは人として当然の事です。やはり寄進とかもあったり?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます