第270話

「ドラゴンと戦ってた時の事を思い出してその時に使った限定変質を含む動作を行ってくれるかしら?」


「いいですけど、驚かないでくださいね」

 体の変化を知られてるなら問題ないか、ユウティーシア自体の魔力も1割ほど回復してるからな。少しくらいなら大丈夫だろう。細胞のミトコンドリアに命じて肉体を細胞を変質させ両手変化させる。


「どうですか?」


「うーん、他にしたことない?」

 リメイラールの言葉に、他に何をしたのか思い出す。たしか魔法を使った……でもそれは発動しなかった。あまり意味があるとは思えないけど。どうせ発動しないんだからいいかな?生活魔術を発動させる為に魔術式を組み立てる。


「大瀑布(ナイアガラ)!」

 俺の言葉だけが部屋の中に響くが何も反応はない。


「すごいわ!精神エネルギーが急速に消費されたわ!貴女、一体何をしたの?」

 何をしたの?と聞かれても発動しない魔術を超える魔法を使用したに過ぎないのに何を言ってるのだろうか?


「ユウティーシアさん、見てみて!ココ!ココ!」

 リメイラールが指差した部分を見るとグラフの数値が急激に減って回復してるのが見える。これってもしかして……環境開発実験センターが言ってたメディデーターの魔術の特性、精神エネルギーの消費?そんなまさか……。


「すごいわ、これで皆が助かるかも知れない。ユウティーシアさん、今使ったナイアガラって技を教えてもらえるかしら?明日、草薙君に説明してくれれば彼が理論を開発してくれると思うから!」


「あの、気になっていたんですけど草薙君って異世界から来たって言ってましたけど、一体どういう事なんですか?」


「えっと……その辺りは私もカリキュラムを受けてないから詳しくは知らないんだけどね。彼の居た地球では時間連続体が続く事を同じ世界と言うらしくて、それと異なる進化を遂げた世界を異世界って言うらしいんだって」

 つまり草薙はこの世界とは異なった進化を遂げた地球の人間?聞けば聞く程、分からなくなるな。


「とりあえずユウティーシアさんの特性については後日、草薙君に調べてもらうとして……歴史を簡単に説明するね。まず、この世界アガルタはねたくさんの戦争や経済戦争を繰り返し発展してきたの。そして2千年前に人類は遺伝子の飽和を迎えて30億人存在した人類は2千年の間に1億人まで激減したの、簡単に言えば子供が生まれにくくなったと言う事かしら?


 そこで世界政府は、宇宙に交配可能な種族を探す計画を打ち出したの。それが宇宙開発実験センターと外宇宙開発機構。あとは星のテラフォーミングを考えて環境開発実験センターを作って他の宇宙知的生命体との戦闘を考え軍事開発実験センターを、人類移住が可能な惑星を見つけた場合に移動が可能なように次元移動装置を月に設置したんだけど、一部の政府高官がね……人類はもう一つ上の次元に行けると提唱し始めて進化学実験センターを作ってしまったの」


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