第252話
「お、おい……そういえばさっき向こうの別嬪さんがクサナギ殿とか言ってなかったか?」
「あ、ああ……言ってた!」
俺の見てる前で男たちだけで話し始めた。人に話しかけておいてこっちを無視するなんていい度胸じゃないか?失礼すぎるだろ。
「お、おい!そこの女!この女はまさかカイジン・クサナギって名前か?」
男たちの質問にレオナが少し迷っていたようだが仕方なく頷く。その様子を見て男たちは
「あ、あの海洋国家ルグニカの奴隷商を根こそぎ滅ぼしたやつだ!」
「海洋国家ルグニカの王家軍船団をたった一人で壊滅させ国を征服した魔王って聞いたぞ!」
「たった一人で、大陸全土に信者を持つリメイラール教会に喧嘩を売った神への反逆者とも聞いた」
「国中の騎士団を相手に追剥をして拷問した最強最悪の魔女だとも……」
「迷宮を破壊して指名手配を受けてるとか聞いた」
次々と俺に言われもない罪状を突きつけてきた。まったくひどいものだ。きっとエメラスとかそのへんの悪党どもが俺の悪口を広めてるに違いないな。俺は溜まってきたフラストレーションを発散させるために近くのレンガ作りの壁を殴る。まったく俺を無視したあげく無い事無い事ほざいてくれたものだ。
「くくくくっ、いい度胸だ。貴様ら、五体満足で居られると思うなよ?」
後ろからレオナがクサナギ殿、言ってる事がまるで悪党ですよーと言ってるがそんな事知ったことか!
俺が殴ったレンガ作りの壁は罅が無数に走り砕け崩壊した。それを見ていた盗賊達が顔を真っ青にして
「すいませんでしたあああああああああ」
「まさか、まさかアナタ様が闇ギルドの中でも関わったらいけないじゃなくて一目置かれてるお方だとは思いも知らずにどうか命だけは命だけは」
「本当に出来心だったんです。妻と娘には手を出さないでください」
「お金なら差し上げます!ですから命だけは!」
「そんな女らしい格好してたから分からなかったじゃないか!魔王なら魔王らしくぐべらっ」
一人思わず殴ってしまった。すぐにヒールをして歪んだ顔の形を戻してやるが、どうせすぐに顔は整形が必要になるだろう。
「や、やっぱり間違いない。あのお方はデストロイオブヒーラーだ」
とても不名誉な称号を口から吐いた男は顔を蒼白にさせてガタガタ震えているが、お前の地獄はこれからだぞ?
さあ、ひさしぶりのヒール講座だ。とても腕が鳴るな……。
男たちに近づこうとした所でレオナに後ろから俺の事を押さえつけてきた。
「お前たち、早く逃げろ!長くは抑えられないぞ」
レオナの言葉に暴言を吐いた男たちは落した武器などを手に取るとその場から脱皮のごとく逃げ出し始めた。
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