第237話
「おい、ユウティーシア。さっきのやつはもう使えないのか?」
すでに敬意も払ってこない勇者コルクに俺は苦笑いで答える。
「無理です。一度あの力を使うと次に使えるまでに時間がかかります」
俺の答えに勇者コルクと聖女アリアは絶望的な表情を見せているがまだ手はある。だがそれはさすがに……。
「くそっ!とてもじゃないがあんなの俺達じゃどうにか出来る範囲を超えてる」
「ですが神兵を倒さねば世界が終わります」
勇者コルクと聖女アリアは打開策を考えているようだが……。
「―――クサナギ殿。神衣をあの者たちと……」
「―――無理だ」
すぐに断られた事で諦めると思っていたレオナは
「無理じゃありません!出来ることをせずして諦めるのは格好悪い事です。私が知ってるクサナギ殿はそうではないで……」
どうやらレオナは最後の力を振り絞って俺に語りかけてきたようで気絶した。
「ユウティーシア、今だけ私達とは休戦です。ですから力を貸して頂けませんか?」
「……」
「聖女アリア様がこう言ってるんだ。俺も休戦に同意するがユウティーシア、お前はどうなんだ?」
休戦するということは、俺がしてきたことが全て無駄になるじゃないか。そんな事は納得できないできないが……。俺はさっきレオナに言った。いくらでも汚名を着せられても我慢すると……。
「わかりました」
ここは折れるしかない。力を合わせねば勝てない。だが、どうすれば……いやもう答えは決まってる。だが……。
「なら共闘成立だな、アリア様、指示を!」
「ですが、我々だけでは騎士団の力を借りて……」
二人の言葉を聴きながら俺は俺は……。
「コルク、アリア。騎士団の力を借りても死者を増やすだけです。とてもではありませんが彼らは戦力にはなりません」
「ユウティーシア、お前が言ってることは分かるがここは騎士団全員で当たるしかないだろうが!」
勇者コルクの言葉に俺は頭を振る。
「一つだけ方法があります。ですがその力を使えば勇者コルク、聖女アリアの両名とも私から一定の距離離れられなくなりますし神代の者と戦うことになります。
そして私と知識と経験を共有することになります。そしてそれだけが新兵に勝つ方法です。どうしますか?」
出来れば断ってほしいが……
「構いませんわ、私は聖女と呼ばれてた時に自分の身を犠牲にする覚悟は出来ております」
「お前とは嫌だが……だが俺は勇者だ。好き嫌いを言ってたら始まらない」
二人とも即答であった。
あとは、俺の覚悟だけだがレオナだけでも困ってるのに他の人にも俺の知識や感情や経験を読まれるなんて死んでも嫌だが、俺を狙ってきてる以上、責任は全て俺にある。
なら責任は取らないといけないだろう?
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