第227話
「レオナも無理して付き合う必要はないのですよ?でも神衣の解除の仕方を何とかしないと分かれられないですよね……すぐには行きませんが必ずレオナとの神衣の契約解除を探しますのでもう少しだけ待っていてください」
「クサナギ殿……」
「患者の方がまだ待ってます。戻りましょう」
一度はじめたことなのだ。最後まではこの仕事を続けよう。レオナが何故か泣きそうなような顔をしていたが俺には理解出来なかった。
俺がテントに入ると先ほどの赤ん坊と女性が居た。そういえばさっきテント外に出るのを待つように指示していた。そのことを失念してしまっていた。女性は赤ん坊に母乳を与えていたので俺は自分が座っていた椅子を提供する。立っているよりも座っていた方が母乳は与えやすいだろう。女性からは感謝の言葉をもらったが別にどうとでも無い事なのにな……。テントに入ってきたレオナは俺が立っているのを見て何か思うところがあったようだが。
「レオナ、少しこの布を部分を押さえておいて頂けますか?」
俺はテントの中に布で敷居を作っていく。布を糸で支柱に固定して女性の搾乳してる姿を患者に見られないようにするのだ。同性ならいざ知らず異性には見られたくないだろう。俺だって異性に体を見られたらいい気はしないからな。
「よく分かりません」
「そうですか?至極、人として普通のことだと思いますが?」
人に配慮するのは普通だろう?何が分からないのだろうか?
「違います、クサナギ殿はあまり自分自身に配慮されてるようには見られないのです」
何を言ってるのだろうか?俺は自分自身に配慮しまくりだ。いつ死んでもいいと思ってるしそのために好き勝手に生きてるし誰にも迷惑がかからないように極力他人との関わりを持たずにいるだろう?レオナの言葉こそ俺には理解できない。
「聖女様?どうかされたのですか?」
「いえ、彼女は少し疲れてるようなのです。気になさらないでくださいね」
俺は目線で、レオナにあまり余計な事を言うなと釘を刺す。レオナも女性がいる手前口を噤んでくれたがどうも納得してくれなかったようだ。やれやれ、神衣は面倒だな。前ならこうなる前にさっさと離れたんだが……。魔法帝国ジールに存在する神代時代の軍事開発実験センターなら神衣を解除する方法もあるだろう。元々、神衣は高次元存在に対抗するために神代技術の結晶ととして神代末期に作られた戦闘関係の技術だったらしいからな。
俺は考えながらもせっせと敷居を作っていき数分で布の敷居を完成させた。テント内部といってもそんなに広くないから人が一人座れるくらいのスペースなのは許してほしい。
「レオナ、それでは治療を開始しますので外にいらっしゃる方を呼んできて頂けますか?」
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