第201話

「人間。今日も訓練するのか?」


「いや、そろそろ此処を出ようと思ってる」


ここにずっと居てもいいかも知れないがやはり俺は、やられたら1やりかえしたい。それに今の自分がどのくらい強いかも知りたいからな。今まではロボットにおぶさって連れて行ってもらっていた人工システムのある部屋へ自分で歩いて向かい中に入ると人工システムの声がホールに響く。


――草薙雄哉、貴方はまだ戦う術を知らない。軍事技術開発センターへ行くことを薦めます。


場所が表示される、そこは魔法帝国ジールの王城。


「ここも隠されてるのか?」


――肯定。現在、メディデータ同士の戦争が発生してる事から軍事技術開発センターへは入場許可申請が下りません。メディデータ同士の戦争終結が確認され安全性が確認出来た時点で許可申請が下りる状態になっている模様です。


「なるほど、つまり戦争終結まで待ってればいいという事か?」


――否定。ここの施設の上部に存在する次元が歪んでいる為にこの施設の一か月の時間が外の世界では1日にも満たない時間となっています。その為、戦争終結までにいるとすると数十年から数百年の時間経過が予想されます。


「なるほど……」


――それと解析の結果。ドミニオンが送り込まれたのは草薙雄哉が存在していた地球のある座標からです。恐らくドミニオンを送り込んだ理由は草薙雄哉が持つ神核エネルギーを奪うためと推察されます。


「つまり、俺を転生させた奴があの巨人を送り込んだって事か?まったく……面白いな?」


こいつは何が何でもアルファを殴り飛ばさないとダメだな。そうなると神代遺跡巡りが必要か。


――それと草薙雄哉、貴方は精神エネルギーを利用する魔術ではなく精神核エネルギーを利用する魔法を利用できる状態になっています。そのため、幻想系の魔法では人間の組織の修復はできません。


「つまりコボルトと同じで俺自身には回復魔法は使えない。修復するには細胞を修復するしかないと言う事でいいんだよな?」


――肯定。


それだけ聞けば十分だ。


「それじゃまたくる!」


俺は人工システムがある部屋から出るとホールへの扉が閉まった。すぐに寄ってくるロボットに分かれを告げるとエレベーターに乗り上部へのボタンを押すと上昇を続け止まったところで俺はエレベーターから出る。回廊は一日立った影響からなのか俺の血が綺麗に消えている。


異界化、次元変数により物質変換されているからこそ形状を保つ事は不可能なのだろう。ただ、俺は右手を壁に叩きつけ壁を抉る。すでに右手は重炭素を合成した細胞で作られており傷一つ存在していない。そして抉った回廊の大理石を前方に投げつけた。


音速に近い速度で飛ぶ大理石は空中で弾け飛ぶ。

そこには勇者コルクと聖女アリアがいた。


「ようやく見つけたぞ、ユウティーシア!」


「一日も逃げるなんてさすがは戦女神、でももう逃げしません!」


人工システムが言った通り時間の進み方が違うようだ。

さて、どうするか?よく見ると俺が斬り飛ばした勇者の腕が完治している。


「ふむ……」


俺の態度に勇者コルクがブチ切れたようで聖女アリアに身体上昇の加護をもらって突っこんでくる。

そして俺に向けて腰から抜き放った神代移動兵器で斬りつけてくるが


「ダメです!やめなさいコルク!?」


「――ばかな?」


俺は人差し指で止める。なるほどな、強くなりすぎてしまったようだ。




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