第142話
「はい、生まれつき使えただけですの。ですから詳しい習得方法とかは存じておりませんの」
覚えたとか言ったら聞かれる予感がしたので先に釘を刺しておく。プログラムの話とかすると延々と話を続けさせられるそれと同じような悪寒がしたのだ。
「それは残念ですわ」
しぶしぶと言った感じでアリーシャは納得してくれたようだ。レオナと言えば、あれだけの荷物を入れられるなんてもしかして中級でもかなり上の魔法師なんじゃとか言ってるが勝手に考えておいてくれ。
船の出港まで時間がないとの事だったので、パステルを担いで甲板にあがっていく。
それにしてもパステルって身長が俺よりも20センチほど高くて胸も大きいことからとても運びにくい。自然と足を引きずる形になってしまうのは困るが、さすがに男たちに運ばせるわけにもいかないしアリーシャとレオナに任せるのも気が引ける。
俺が気絶させたのだから仕方ないとあきらめよう。
「すいません、私たちのお部屋はどちらになりますか?」
俺の言葉に男は振り返ったがそのまま凍りついた。
男の顔は真っ青になり看板の上に尻餅をついた後、這って俺から離れようとする。
うーむ、体調でも悪いのかな?
俺は、後ずさりする男性に近づいてヒールをしてあげたが泡を吹いて気絶してしまった。
「クサナギ様、いったい彼はどうなさったのですか?」
「さあ?」
俺に聞かれても困る。俺のヒールが効かないってことは重度の病の可能性もあるし精神的なものもあるかもしれない。もしかしたら女を船に乗せたら沈むとか言う迷信を信じてた人かも知れない。
「レオナさん。きっと私たち女性が船に乗るのは古来より海の男たちの間では良くないと思われているのでその事で精神的に疲れて倒れてしまったと思います」
「そんな事があるのですか?」
「ええ、とても不幸な事故だと思いますわ。迷信に過ぎないだけかも知れませんのに」
そう、彼はきっと重度な精神的負荷に耐えられずに気絶してしまったのだろう。痛ましいことだ。あとできちんとヒールをしてあげよう。
その後、他の船員に俺たちの部屋を場所を聞き、パステルを寝かせた。
俺の部屋は一人部屋で、3人の女騎士はひとつの部屋を共同で使うらしい。何はともあれ、船は海上都市ルグニカから衛星都市エルノへ向けて出航した。
さあ、俺たちの船旅はこれからだ!!!!
―――――――――
――――――
―――
「――――――忘れてた」
そう、俺は船酔いの体質をまだ改善できていなかったのだ。
まさしく俺の天敵であり脅威……。
衛星都市エルノまでの距離は、4日間。
おれは果たして生きてたどり着けるのだろうか……。
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