第128話

重税で苦しんでいた国民達は、ただの噂だと思っていたがクサナギが王家の騎士達を派手に倒して回ってるせいもあり、もしかしたらという憶測が流れそれからはその人気に火がついた。


ただ、俺たちとクサナギの関連は知られたらまずい、だからクサナギには手を貸せない。

だが俺たちの手助けなどいらないと言わんばかりにクサナギの一人無双状態だった。


刻々と減っていくスメラギ総督府の騎士達に国民は狂喜した。

そして王位簒奪レースが始まり問題もいろいろあったが王家の船はクサナギが間接的にすべて沈めてしまった。

国民は喜んだが、レース主催者達は怒り狂った。

何せ自分たちの主でもある出資者でもある王家が敗退してしまったのだ。


ただ死刑には出来なかった。

多くの国民がクサナギの支持していた事に加えカベル海爵の後ろ立てがあったからだ。

そこに俺たちが総督府として死刑判決を却下したのだ。


もはや大会運営は何も出来ずクサナギに命じられたのは、所持金没収と市民権剥奪に一ヶ月間の牢屋暮らしだった。

グランカスは、仕方ねーなと言いながらもクサナギが入れられる予定の牢屋付近の軽犯罪者達を全員、恩赦という形で釈放していた。


一言、これであいつも安心して寝られるだろうと言っていたが、クサナギがそんなやわい精神なのか俺には甚だ疑問だった。


それはともかく、ガレー船に俺は乗っている。衛星都市ペルメシアの総督府が俺の赴任先なのだ。総督府から落ちればこの国ではもう王家とは呼ばれない、今の俺の肩書きはジャスキー海爵だ。


クサナギに2週間教えてもらった学び舎の設立と人材派遣ギルドの設立、そして衛生ギルドの設立がまずは俺の仕事だ。


これからは偉人として公正に民に接することにしよう。

ただクサナギみたいにはなったらいけないと心に誓った。




衛星都市エルノの総督府では、王位簒奪レース後に海上都市ルグニカから発令された人材派遣ギルド設立、学び舎の設立、衛生ギルドの設立と非常に慌ただしい状態であった。


「ヘポイ海爵殿、この書類もお願いします」


ドン!と比喩なき置かれた書類に、元スメラギの奴隷商人だったヘポイは目を見開いた。自分が思っていたのと違う。たしかにヘポイの商会は人材派遣ギルドを設立してからと言う物その業績は大幅に伸びてはいる。事務も人を多く雇った事でギルド自体も大きくなりスメラギの奴隷商人たちともギルド提携を結んでからと言うもの順風とは言い難いがそれなりだった。


だが、ギルドは良いとして自分はどうだろう?海爵になってからと言う物ヘポイにしか決済できない書類が次々と運ばれてきては目と通していく。

もうすでに、3日は寝てない。

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