第114話

こうなると町の財政を立て直すのにどれだけの時間がかかるか想像もしたくない。

ギリシャのデフォルトより遥かにひどいと思う。

何せIMFも日本やEUのように資金を貸し出してくれる所がセーフティネットがこの世界にはないのだ。


そんな状態でどうやって立て直せと?

そもそもそこまでやっても俺にメリットが殆どない。

これは衛星都市スメラギに戻って簒奪レースに勝った後に各地の海爵(領主)の下で働いてる人間を雇用した方が良い気がしてきた。

というか絶対、そっちの方がいいだろ。


「大丈夫かい?」


「ええ、問題ありません」


そう問題ない。ここの町は俺にとってはどうでもいい町になった。

多少予定は変更されるが衛星都市スメラギに戻ってやる事やるとしよう。


「ユリカの面倒を見てくれた礼だけど、今日はうちに泊まっていかないかい?」


「いえ、宿を取ってありますので……」


実際は宿なんて取ってないが人を刺してくるような幼女と同じ屋根の上で寝るなど危険以外の何者でもない。

もしやるなら相当お人よしか小説とか物語の主人公くらいだ。

人間がそんなに簡単に改心してたら世界から争いなんて無くらない。

キッカに、俺はユリカに刺されたんですよと説明しないだけマシだと思ってほしい。


俺は寝たままのユリカをキッカに任せるとお店を出た。

すでに夕方を過ぎてることもあって薄暗いが冒険者ギルドで聞いた一番高い宿に泊まる事にした。

教えてもらった所に到着すると5階建ての建物が視界に入った。

かなり立派な建築様式になっていて壁は全て煉瓦でつくられている。

宿泊料金は高いらしいが警備はきちんとしてるらしく帝政国に本店があると言う事もあり滅多に手出しできないと冒険者ギルドの受付の女性は言っていた。

建物に近づくと8人の兵士が入り口を固めており俺を一瞥し俺の恰好からして客だと理解したのかすぐに中に通してくれた。


「いらっしゃいませ」


中に入ると執事風の服を着た男性が話してくる。


「一部屋借りたいです」


合えて高級な部屋は最初から頼まない。

あまり高級な部屋を借りると問題が起きたら困るしな。


「ランクがありますが如何いたしましょうか?」


「普通で頼みます」


「畏まりました。金貨30枚になりますが宜しいでしょうか?」


俺はうなずぐと袋から金貨30枚を出して渡して鍵を受け取った。


「こちらになります」


部屋まで案内してもらい鍵で部屋の扉のドアを開けて中に入るとかなり手入れの届いた部屋が目に入った。部屋はバストイレ完備になっており寝室にはベットが2つとリビングがある。

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