第105話
俺の発言に先ほどまで混沌とした議会の空気が氷ついたように鎮まり返った。
「さらに言えば、奴隷に給料を払う理由ですがこれは物価の消費を増やす意味合いが大きいです。今、皆さんが販売し使ってる奴隷は物を買いますか?買いませんよね?つまり作った物が余剰するのです。
ですが、その奴隷が物を購入するようになれば潜在顧客として経済を回せるようになるのです。そこで専属契約した若者に対して自らの商会が取り扱ってる物を紹介登録者割引と言う形で販売したらどうなるでしょうか?
それは今まで死蔵されていた通貨交換を促進させさらに奴隷商人の方々をいままで以上に稼がせる結果に繋がりませんか?
そしてこの方法なら奴隷を禁止してる国でも同じ形態で雇用する事が出来、稼ぐ事が出来るのです」
もはや俺の独壇場状態、地球の経済の流れをパクっただけなのだが中世の世界では斬新すぎるのだろう。そして最初に始めた人間には後追いなど出来ない。
「さて次にこの国だけではなく、奴隷を合法化してる国が多数あると聞いてます」
俺はそこで話を区切って奴隷商人達を見渡す。
全員が一生懸命、物事を考えている。
さあ、ここからが俺の仕事だ。
「さて、冒頭に説明した歴史に名を遺す偉人と説明しましたが……もし、この方法で全ての奴隷を解放した状態で雇用を作り出して尚且つ中抜きで永続的に稼げるようにするとします。そうすると世間の評価は奴隷を解放して奴隷に給料を払って雇用してる商会と言うイメージになるのです。それは人を人として自らが国の意思に関係なく動いたと言う事で後世に名を遺す偉業にはなりませんか?」
「た……たしかに……」
「それならコストが抑えられる」
「奴隷の当たり外れを気にする必要も……」
「だが、代官がな……」
「領主もな……」
「王族がな……」
いろいろな意見が出そろってくるが俺は、奴隷商人達のストッパーになってるのがすでに権力者だけだったのを見て内心微笑んだ。
「皆さん、私は今回!王位簒奪レースに参加します。そして海神クサナギの名においてこの国で奴隷廃止に舵を取りたいと思います。もちろん代官だろうが領主だろうが王家だろうが私の魔力量を持ってすれば敵ではありません。どうですか?投資しませんか?」
そう、王位簒奪レースは莫大な資金を使用する事と船の操船技術が必要なのだ。だがそこに国籍などは一切書かれていない。
と言う事は、ここに集まった奴隷商人7人とグランカスとこの俺が参加して王位簒奪レースで全ての王家の船を洋上で撃破して全ての首都の総督府にそっくり奴隷商人達を据えてしまえばいいのだ。
そうすれば奴隷を解放した栄誉と名誉に総督府の地位まで入ってしまう美味しい状態になるのだ。
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