第101話

「おい、ここにはどれだけの奴隷商人がいるんだ?」


「「「「「え」」」」


「聞こえなかったのか?どのくらの奴隷商人の元締めがいるか聞いたんだが答えられないのか?」


「い、いえ!7人おります」


素直に答えてくれた。

まったくいい人たちだ。


「なるほど、それじゃその奴隷商人の元締め全員とお話したいんだが集められるか?」


「す、すぐお頭の名前で集まるように言ってきます!」


「まて!まずはお前たちを自由に行動させる前にお前らの家族と家族構成と友人と付き合いのある人間をこの紙に書いてもらおうか?」


俺は、近くの机に置いてあった羊皮紙とペンをとり男達に書くように伝える。

犯罪者をそのまま信じるなど俺は甘くない。

ならどうするか?

親や付き合いのある人間を人質に取るのだ。

そして俺が見てる間にお頭の情報も知る限り記載させた。


「さて、じつはだな?この書かれてる内容がまだ本当かどうかは俺には判別がつかないんだよ?そのへんは分かるよな?分かってくれるよな?」


ところが男達は一斉に「助けてください、何でもしますから」とか「お母さん……」とか「俺、旅に出るんだ」とか「分かりませんから助けてください」とか一斉に言い出した。まったく何をそんなに嫌がってるのか俺には理解できない。

第一、きちんと回復魔法で治療してやったじゃないか?助けてくださいとか人聞き悪すぎるだろ?


それでも仕方ないじゃないか、読心術とか俺はそういうの持ってないし……俺だって本当はやりたくないよ?本当だよ?生活魔法の実験に少しだけ付き合ってもらうだけなのだ。だから大丈夫、きちんとヒールで直してあげるからさ、安心していいよ。



俺は貴族時代に習った貴族流の淑女たる微笑みを彼らに見せたが彼らは攫われてきた子犬のようにビクビク震えているばかりだった、解せん。


しばらくしてから彼らと個人ヒール講座をしてから大体の事情が理解できた。


この町もそうだがほかの町もとい国境線に位置する衛星都市には必ず奴隷市場がある事。

そしてその奴隷は主にルグニカの貧しい農村から送られてくること。

代官が奴隷を量産してる事が分かった。

これは、代官にもヒール講座が必要だな……。


「さて……」


先ほどまで震えていた子犬達が疲れて半分ほど寝ていたが、残りは起きていたので話を続ける事にした。


「まずは奴隷商人の元締めをここに集めてくれ、そこのグランカスの名前を使えば問題ないだろ」


グランカスとはそこに転がってる俺のヒール個別指導を1時間に渡って受けた受講者だ。

そいつは衛星都市スメラギの大手奴隷商人だったらしく組織力もスメラギ一大きい。

それだけに影響力があるようでグランカスの奴隷ギルドである『安心安全信頼がモットーのドレイ館』は中々信頼度も高いらしい。

ドレイ扱っててずいぶんふざけた名前だとは思ったがまあいいだろう。


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