第91話
そして時は、草薙が奴隷制度を見た時まで進む。
「それではクサナギ様、お父様を紹介いたします」
エメラスは部屋へ通じる扉を開ける。
草薙は、入室するように薦められた為、部屋の中に入るとそこはかなり大きな部屋になっておりいくつもの椅子と巨大な一つの大理石で作られたテーブルが置かれていた。
「お待ちしておりました。クサナギ様」
声がした方へ視線を向けるとガタイの良い黒い肌をした男が立っていた。
見た目からして190センチ近いだろう。
俺との身長差は50センチ近くある。
「こちらへお座りください」
俺は進められるまま椅子に座る。
そして男を見て考察を開始する。
一見、穏やかにしてるようだが、その眼は笑っておらず人を眼踏みしてるように見える。
そこから考えられるのは、俺が人間だと考えている可能性があるという事だ。
こいつ、口ではクサナギ様と言ってるようだが内面は違うようだな…。
あとは俺の扱いをどうしたらいいか迷ってる所か?
ふむ。もう少し情報がほしいな。
「それで呼ばれた理由とは何でしょうか?」
まずは相手の出方から見るのが先決だろう。
「さすがは海神様。私達、人間に興味はないのは分かりますが、紹介をまずはさせて頂きたいと思います。私の名前はイデル・ド・ルグニカと申します。このスメラギの総督府を取りまとめております。娘のエメラスからは貴女がどれだけ素晴らしい方なのかお聞きしております。私達にお力を貸していた「待ってください」」
俺はイデルの言葉を途中で遮った。
そもそもこれは商談なのだ。
そしてこっちは海神設定ででっち上げてる以上、相手がどう思ってようがその設定を押し出して相手の譲歩を引き出す方がいいだろう。
そして、話の途中を折った一番の理由はイデルが俺をどう思って考えてるかを正確に知るためだ、
こっちを敬っているなら怒らないしその反対なら別の態度を取る。
「すいませんが、私は簒奪レースに参加するとは一言も言ってませんし承諾もしてませんが?いつから私が貴方達に協力するという話になったのでしょうか?」
俺の言葉に一瞬、男は呆けていたがすぐに額に青筋を立ててそれを消していた。
一瞬で自分の感情をコントロール出来たのはすばらしいと思うが、前世での日本人としての営業経験が俺に警鐘を鳴らしていた。
つまりこいつは、俺の事を自分より格下だと思ってる。
ということは俺との約束を反故にする可能性もある。
さて、どうするか……。
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