第80話
まずは王都から出る事。
王都から出る道のりは、市場で話を聞いていた事から大体予想はつく。
ただ恐らく、王都から出る門の付近にも警備の者がいるだろう。
草薙の姿は、あくまでも女性だ。
一人で何も持たずに王都の外に出ますなど言ったら増々怪しく思われてしまう。
それなら正攻法で出なければいいだけだ。
草薙は王都の周囲を囲む城壁まで近づくと、魔法書に書かれていた内容を思い出す。
魔法は魔力を使い理を操る力。
そして草薙には莫大な魔力がある。
MP:20000000000/20000000000
これが草薙が異世界前に設定した魔力量だ。
実に200億の魔力量。
この世界の人間の魔力は0から200付近が多く上級魔法師でも1万程度。
草薙の魔力がどれだけ常軌を逸してるのが分かる。
公爵邸では教えられなかった魔術にして魔法。
その魔法を利用することに高揚感はあったとしても恐怖などは一切なかった。
魔法書には魔法を使う前にどのように魔法を行使したいのか想像が大事だと書かれていた。
そんな物、日本人なら誰でも容易に想像が出来る。
体内の器官、筋肉、神経、肌、脳内までを鮮明に頭の中で思い描く。
全て日本の高等教育の間に学んだ内容でありそれはこの世界では到達しえない神の領域すら超える想像力。
魔力を丹田を通し体中に巡らせるように頭の中で思い描き体を強化していく。
そして、数秒の後に草薙の体はうっすらと白い光を薄く纏っていた。
暗い町、しかも城壁の近くだった事もありすぐに警備隊が草薙の姿に気が付く。
何人もが走って近づいてくるが草薙は口角を上げた。
そして跳躍する。
草薙が踏み込んだ煉瓦作りの通路は陥没し、押し出された土は砂塵となって周囲に舞い散る。
砂塵が収まった頃には草薙が立っていた場所は、巨大なクレーターになっていた。
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