第46話
「ユークリッド、それにしてもお前が魔法書を買うなんて何かあったのか?」
王都警備隊の仕事を終えたユークリッドとスレインは、その足で魔法書の取り扱いを専門に行う魔法道具店に足を運んでいた。ここの魔法道具店は人口が10万人のリースノット王国において唯一の魔法書を置いてある場所であった。
店内は、日本でいう所のコンビニ程度の広さがあり魔道コンロ、魔道冷蔵庫のように誰でも購入できる物の他に魔道ベルのような資格を提示しないと購入出来ない物が置いてある。
ユークリッドは、店内に入るとそれらには目を向けず書棚に向かう。
「何もない……少し気になった事があっただけだ」
詰め所から興味を示してついてきたスレインの問いかけに答えながら俺は、書棚の前に立つと魔法書を本棚の上から順に確認していく。
まずはユーヤは体を動かす事が極端に苦手だ。
そうなると、最優先として必要な魔法は身体強化魔法だろう。
身体強化魔法の習得が書かれてる本を手に取る。
ミランダが俺よりも強い力を発揮してるのは身体強化魔法の影響が大きい。
もし、ユーヤが魔力を持っていて身体強化魔法を使えるようになれば、彼女の私生活もかなり改善されるはずだ。
次に手に取ったのは、初級回復魔法が書かれてる本
刃物で指を切り落としたらダメだが少し切るくらいならこれで回復が出来る。
ユーヤは、料理が得意で家事が好きなようだからあると便利だと思う。
「それ本当に買うのか?」
スレインがさっきから俺の周りをウロウロしてきてマジで買うの?マジで?と言う目で見てくる。
「お前はアンナの所、行って来いよ。このくらいならついてこなくてもいいから……アンナの両親の所に顔を出しに行くんだろ?」
「そうなんだけど、何かお前いつもと違う気がして気になるんだよなー。何か隠してね?」
思ったよりずいぶんとスレインは鋭い。
ガキの頃からつるんでるから俺の態度から何となく察しているのだろう。
「今日、なんかずいぶんソワソワしてて仕事に身が入ってなかったよな」
スレインの話を聞きながら、俺はそうだろうか?と自問自答するがたしかにユーヤが勝手に外に出てないだろうか?とは心配していた。
彼女は無防備すぎる。だから本当はこの国に冒険者ギルドはあったが教えなかった。
冒険者の仕事は魔物と戦ったり迷宮に潜り探索したりするだけが仕事ではない。
雑務系の仕事もありそれは王都内だけではなく王都付近の町や村からの依頼も貼り出される。
中には臨時雇用の畑の耕し作業やウエイトレスの仕事なども書かれているからこそ、ユーヤには正直教えたくかった。彼女は、ずっと屋敷に監禁されていた事もあって常識に疎く本来なら危機感を抱かないといけない男の俺にも同性のように接してくる。
たしかにユーヤは見た目に反して、論理的に話を話を進めてくるがそれが通じるのは相手が話を通じる相手だけだ。
もし相手が話が通じない人間なら?彼女を抱き上げた時にも感じたが正直軽すぎると思って不安に思ってしまった。
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