第31話

 うん、相当ひどいな!まるで現実味がない。そりゃ何度も噓発見器と俺の顔を見るわけだ。


 だが正義感に酔う人間にはこれが一番効く。何故なら美少女がそれだけ酷い事にあってる。だから助けないといけない!そして助けた俺かっけー理論だからだ。俺、本当ひどいな。


「君の事は大体理解した。つまり君はあまりいい環境では暮らしをしておらず軟禁状態だった事もあり自分を取り戻しにくるかも知れないと思ったからこそ詰め所にはいきたくないと言ったと……そういう事で良いのか?」

 まぁいろいろと粗が目立つ理論ではあるが概ね間違ってはいない。そりゃ公爵家だもの、何かあれば詰め所からの情報を吸い出すなどお手の物だろう。


 とりあえず肯定も否定もせずに微笑んでおこう。


「はい、ですので内密でお願いします。もう監禁されてるのはこりごりなのです」


 男は深く溜息をつくと先ほどまで立っていたのに椅子に座りなおした。


「分かった、君の話を信じる事としよう。だが、そうなると生活基盤がないのだろう?それならしばらくここで暮らすといい」


「ありがとうございます。不束者ですがよろしくお願いします」


 草薙ことユウティーシアは、詰問の際に水が沸騰してる音に気が付いていた。自分を詰問してきた男、名前はユークリッドと言うらしいがその男と一緒に暮らす手前、草薙は自分が家事をすると条件をだした。どうせ、外に出てもすぐに出来ることはないのだ。だったら、前世の一人暮らしのスキルが生かせる主婦業をした方が実用的だろう。


 草薙は、白い布を右手に持った後に魔道コンロにかけられていたおなべを持ち上げた。


「結構、重いんですね」

 今まで白色魔法石を作るために小石を持つか食事の際のスプーンなどの食器類しか持っていなかったからが純正の鉄製品であるお鍋はそこそこ重く感じられたのだ。


「ん?そうなのか?」

 ユークリッドは、魔道コンロに微量の魔力を流し止めながらユウティーシアの言葉に首を傾げた。

そして彼女の手元を見ると湯を入れたあと茶葉を蒸らしているのを見てほホゥと呟いていた。


「ずいぶん手際がいいんだな?貴族のご令嬢かとも思ったがそんな事は普通はしないよな……」

 ユークリッドは、ユウティーシアの手際を見ながら関心しながら言葉を紡いでいた。


「そんな……貴族のご令嬢様がお茶を入れるなんて出来るわけないですよ」

 俺は内心、焦りながらもカップに二人分の紅茶を注いでいく。

そして10畳ほどのリビングのテーブルの椅子を引いて座る。

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