第八十四話 ○西さん
休日。友人のアパートで夜分までゲームをしていると、部屋のチャイムを鳴らす音が……。
友人がインターホンで応対すると、どうやら宅配便とのこと。
「○西さんですか?」
「いや……ウチはY田です。表札に書いてありますよね?」
「スミマセン、間違いました」
それから十分もしない内に再びチャイムが聴こえた。
「はい。何ですか?」
「○西さんのお宅でしょうか?」
「いや、違いますよ。それじゃ」
そんなやり取りが十分毎に繰り返され、とうとう友人が腹立たしさでキレ始めた。
「○西さんですか?」
「違うっつってんだろ?警察呼ぶぞ、コラ!」
「○西さん?居るんでしょ?○西さ~ん?」
これは頭のおかしい相手……危険と感じた友人が警察に電話をしようとした時、部屋の奥の窓から声が聴こえた。
「○西さ~ん?」
ここで流石に異常に気付く。
友人の部屋は二階。しかも声はドアから部屋の真逆に位置する窓側に一瞬で移動したのだ。
明らかな怪異……だが、友人の行動は凄かった。
台所に置いてあった塩を大量に握り締め声のした窓を開けると、思い切り撒き散らしたのだ。
「○西なんか知るか!今度来たら袋で撒くぞ、アァ?」
その剣幕に驚いたのか、玄関からか細い声で『スミマセン……』という声が聞こえた。
その後……その声は現れていないそうだが、友人宅の台所には食塩の大きい袋が常に置かれている……。
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