第八十三話 鏡
大正の頃に造られたモダンな屋敷──戦争被害を免れた『ある伯爵家』の館は、改修はされつつも現存している。
そんな屋敷の中には備え付けられた大きな鏡があった……。
銀製の凝った装飾がされているその鏡は少々特殊な品で、前に座ると伯爵家筋の者には過去の一族の姿が見える言うのだ……。
だが、二代前の当主からからその姿が見えなくなったそうだ。
それもその筈──伯爵家は血縁が絶えかけた為、養子を貰っていたのだ。当然血が繋がっておらず、一族の姿は見えない。
しかし、平成に入った辺りから今の当主になった人物にはそれが見えるようになったのだと語る。不思議に思い調べてみれば、現当主の母は伯爵家分家の血筋だったのである。
そんな今の当主は時折どこか浮かない顔をしている。何故かと尋ねれば、鏡に映る一族達が泣いているのだとか……。
伯爵の家系に何も起こらないことを祈るのみだ。
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