第八十二話 件


 人面の化け物というものは割と昔から伝わっている。


 その中の一つ、【くだん】……死を預言すると言われる物ノ怪だが、とある地方では少々違う形で伝わっていた……。



 その地方に伝わる民俗学の資料では、それは古い呪詛なのだという。


 精子に何らかの呪詛を掛け生まれる動物は、頭蓋の骨格が歪み平らになる為人面に見えるという。


 その動物は生まれて直ぐ呪詛を撒き散らす。故に死を預言……ならぬ死を告げることになる。だから人面獣を見たら呪詛を撒かれる前に殺さねばならないのだ。  



 今ではそんな呪詛を使う者はいない為、【くだん】は姿を消した──という説明に妙に説得させられたが、近年その地方で人面の獣が生まれたという記事を見掛けた。



 呪詛を使える者がいるとしたら相当危険だが──果たして………。


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