ミルセフォルフィナ様と騎士レイデン

作者 宮澄あおい

あなたの悲劇耐性に挑戦する作品

  • ★★★ Excellent!!!

 第一話から不穏。作品の行く末は悲劇なのだと伝えている。そして二話以降も「どうしてそうなっちゃうんだよ」と泣きたくなるような展開。一話読み進めるごとに読者の悲劇耐性を削ってくる。読者はミルセ様に幸せになって欲しいのに、どんどん逆の方向へストーリーは展開していく。

 そして読み終えた時には、読書体力が欠乏して疲労しているのか、ミルセ様を幸せにする方法はなかったのか悩みすぎて疲労してるのか判らなくなる。

 作者さんは歴史に詳しいから、時代の流れや状況の不運さが人々を巻き込んで悲劇を生じさせることをよくご存じのようだ。だから、「ここでこうしたら?」とか「今なら間に合う」とかの期待など吹っ飛ばして、容赦なく悲劇的結末へと読者を突き落としていく。

 この作品は恋愛にカテゴライズされているけれど、個人的には、歴史上ではありふれた悲しい事件の一つを創作しているとしか感じられなかった。

 もちろん恋愛モノとして読むことも可能だけど、人ってこんなに悲しい生き物なんだよと、選択肢はたくさんあったのに転機をとらえられなければ一つしか道はないように見えるんだよと突きつけ続ける作品のように感じた。

 多分、この作品は読者の観点がどこに置かれるかで性格を変える作品なんだろう。

 総文字数十四万字と厚めの文庫本一冊程度の分量の作品です。
 読み直すごとにきっと新たな見方が可能な作品で、分量から言えば、何度も読み返すことができる作品です。

 是非、読み切って、あなたにとっての悲劇を心に刻んでいただきたい。

 但し! 悲劇への耐性の無い方は十分注意してください。
 悲劇耐性が脆弱だと、私のように、悔しいやら悲しいやらで泣き続けることになりますよ?
 

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