ミルセフォルフィナ様と騎士レイデン

作者 永都佐和

ただ甘いだけの恋物語と思うなかれ。多彩な登場人物が織りなす歴史絵巻

  • ★★★ Excellent!!!

美しく聡明な姫ミルセフォルフィナと彼女に仕える騎士レイデンの恋物語……というのはあくまでこの物語の一側面にすぎない。
作中で展開されるのは権謀術数うずまく政治劇であり、グラウデン王国の一時代をさまざまな角度から切り取った骨太な年代記。そして第一話で暗示されているように、少年騎士レイデンが堕ちていくピカレスクロマンである。
作者の確かな歴史知識と、息遣いさえ感じられるような繊細な筆致が物語に説得力をあたえ、民族や宗教をめぐる対立と争いを架空世界とは思えないほどのなまなましさで描き出していく。

ミルセフォルフィナの母である奔放な王太后や、有能だが差別意識が強い兄サリュスキストといった個性豊かな登場人物たちが時に物語に華を添え、時に血を流しながら歴史を紡いでいく。
とりわけミルセフォルフィナの養子イオナシルヴィスの去就をめぐる一連のエピソードは、涙なしには読みすすめることが出来なかった。

物語の終わり、二人が辿り着く結末をどうか見届けてほしい。
ハッピーエンドやバッドエンドといった言葉で形容することが難しい、しかし充実した読後感を得られるはずだ。

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