第0025話 苦は色変える松の風
なぜならスリンディレ・クラルケを長とする"
「スリンディレ、レキシアデーレ、二人は残ってくれ」
「はい」「はい。
スリンディレが
「では、みなさん、ここで
明日は朝一番で今後の
それでは、みなさん、お
「スリンディレ、レキシアデーレ。 お前さんたちには、俺たちと同じマンションに住んでもらおうと思っている。
今後、シオン神聖国とは対決していくことになるだろうから、お前さんたちの身の安全のためだ」
「私たちの
「それがだなぁ……スリンディレとレキシアデーレは、
ここは多くの人間が自由に出入りできるから、
それを
実はな、昨夜、みんなでバーベキューパーティーをしたんだけどさ、その時に
あ、
何十人と死んでいてもおかしくねぇ
「そ、そんなことがあったんですかっ!」
「ああ……俺たちのマンションには、
「そういうことでしたら、お
「私は、
「今住んでいるところは、
「はい」
「そうか。こちらもちゃんと
「そうですわよ。もう他では住めなくなるかも知れませんわよ。ふふふっ」
「そうだよね、特にトイレ! もうシャワートイレじゃないトイレには入れなくなるよぉ~、絶対にね。 あはははは」
ヘルガとさゆりの言葉に、スケさんとカクさんも
「えーと……スリンディレ。 お前さんには
男性が
ほら、うちは若い女性ばかりだからさ、分かるだろ?」
「いえ。
私は
私は神に……神にすべてを
スリンディレは、俺の
お、
「そ、そうか。ありがとう。 それほどまでに俺のことを思っていてくれるのか」
「はい。
32歳かぁ……もったいないよなぁ。 こんな美人でよく気が付く
中身が彼女よりも年上のオッサンである俺は、なんかこの子には
「でもさぁ、お前さんみたいなすっげぇ美しい
どうだい? 何か望みがあれば言ってみな? できる限りお前さんの力になるぜ?」
「いえ、そんな……他に望むことなどありません。
上様に
実はこんな私でも、若い頃からずっと、神子になって、ゆくゆくは上様の妻になることを夢見ていたのですよ……」
そうだったのか……嬉しいな。
「この度ようやく
悲しいかな、私はもう32歳です。 さすがにもうこんな
いや。そんなことはないと思う。
すっごく
外見は若いが中身がオッサンの俺にとって、お前さんはドストライクなんだよ。
「……ですから、せめてこの身を…
「自分のことをそんな
実はさぁ、俺はお前さんに すっごく
お前さんが望んでくれるんなら、俺の
それこそ…俺の方こそ、妻となる女性がたくさんいる身なのに
な、なんでこんなことを言い出しちまったんだ、俺は……!?
つ、ついリップサービスしてしまっ……いや、これは
でも……俺からこんなことを言われて、彼女はきっと
俺の
「えっ!?……わ、私をお
「わ、
「でも、
こんなオバさんとじゃぁ……ごにょごにょ……」
ん? 釣り合いがとれない!?
なんか声が小さくて、ほとんど
そうかぁ~、こんな
そうだよな~、
そっかぁ~、俺なんかとは
「そ、そうだよな。俺みてぇな
忘れてくれ。
「い、嫌じゃないです! でも……」
ん? 嫌じゃない? 何だ?……ああ、俺に気を使ってくれているのか……
だがなぁ~、
「い、いいから、も、もう忘れてくれ! わ、悪かったな、変なことを言って」
「わ、私、お
へっ? ど、どういうこと? わ、わけが分からんぞぉ??
ど、どう返事すれば正解なんだ、この場合……?? 俺の本心は……
「お、おうっ! お、お前さんも今日からフィアンセだ!? よ、よろしくなっ!?」
「はいっ!」
なんだ、なんだぁ~!! ど、どうしてこうなったぁ~っ!?
うーん、でも、
「ところでお前さん、ものすっご~く自分の
俺は今のお前さんがすっげぇ好きなんだけどさぁ……
だが、もしも…
どうする? そうするかい?」
スリンディレの目がキラリと輝く……
「えっ! ほ、本当ですかっ!?
こ、心は? もしかして、
「いや、
「そうなんですかっ!?
や、やはり、
「またぁ……自分のことをオバさんって言うなよぉ~。
まぁでも
スリンディレが
そして、その
「おおっ! ピチピチギャルのスリンディレもいいっ! すごくいいっ!」
「!!!」
ああ、また
スリンディレは驚きのあまり言葉を
しかし……
だが……このスリンディレも、
ん? ヘルガがにやにやしている!? ま、また、
「ぴちぴちぎゃる…ってなんですの、シンさん? うふふ……」
「へ、ヘルガ、気にするな! な、なんでもねぇ! 忘れろ! わ、忘れてくれ!」
「ヘルガちゃ~ん、教えてあげよっかぁ~?
なのねぇ~、 主に10代後半の明るく元気で
さゆりはそう言いながらニヤニヤしている!?
「さ、さゆり! い、
「あらまぁ、それじゃぁ、私たちはみ~んな、ピチピチギャルですわね。
ピチピチギャルハーレムですわね?
また新たなメンバーが加わりましたわね、シ~ンさん? うふふふふ」
「は・は・そ・う・で・す・ね……」
「スリンディレさん、ピチピチギャルハーレムへようこそですわ!」
「はい!」
スケさんもカクさんも、みんなが笑顔だ! ま、まぁこれで……よかった…のか?
◇◇◇◇◇◇◇
「さゆり、お願いがあるんだが……」
「はい。なんでしょうか? 私ならいつでも、よろこんでピチピチギャルハーレムに入りますよ!」
さゆりは目をキラキラさせて、彼女のアゴの近くで
「は・は・は……そ、そうじゃなくてさぁ、地球からマーラーの交響曲第5番を手に入れて欲しいんだよ」
さゆりはショックを受けたかのような表情を見せた。
「ひ、
あんまりですぅ~……ぐっすん。ぐっすん」
えーーっ! 本気だったのかぁ!? えーーっ!?
「いや、お
お、お前さんが、じょ、
お前さんが、そのう……ほ、本気だったら
でも……
「いえ、本気です。 うふ! ではよろしいんですね!?
じゃぁ、私も今日からピチピチギャルハーレムの
「は、はい……お、お・ね・が・い・し・ま・すぅ……」
は、ハーレムがどんどん大きくなっていく!
どうなってるんだぁーーーっ!? 俺は一体どうなっちまったんだぁーーっ!
ただひとりの女性だけを愛する! って
キャラ変更の
>>お答えします。 キャラクター変更による
<<ははは。
そういえば、シオリからも聞いていたな……。
現在の俺は、"モテる
ん? レキシアデーレの視線もなんとなく熱いような……ま、まさかなぁ?
「それで、マーラーの
「……あ、ああ、そっちの話ね? うーん、そうだなぁ……
「分かりました。 コピーして送ってもらいます」
「代金はどうやって支払えばいい?」
「え?
「いやいやいや! だめだろっ! ちゃんと
「はい。もちろん、分かっていますよ。
シンさんが
「あ、そ、そうか。すまん、
「いえ。 CDをそのまま転送してもらうのは大変ですから、データ化してもらって送信してもらうつもりですが……データは
「のうないさいせいけいしき? なんだ、それ?」
「えっ? ご
えーと、耳から聞いた音って、結局は
ですから、その脳内信号自体を再生する方式です。
外には聞こえませんが、脳内の電気信号として音を
「なるほどねぇ! そういうことができるのかっ!? すげぇなぁ」
「はい。音楽を"
音声データを脳内信号に
ながら"ほにゃらら"の……音楽を聴きながら別の事をするようなときの効率が多少アップするということか。
「なるほどな。後でどうやれば音楽を再生できるのかを教えてくれねぇかな?」
「はい。よろこんで。でも……CDをレプリケーターで作れませんか?
シオリさんの話では地球の各種データがリンクされているって話でしたが?」
「あっ、そうか! でも複製することになるからな。著作権の問題があるだろう。
代金を支払う方法がねぇからな」
「確かに。そうですね。地球の
そうだよな。でも、レプリケーターによる
「他にご希望の曲があれば
「すごい金額にならねぇか?」
「大丈夫ですっ! そんなんじゃぁ
「いや、管理者だけが
「私が日本担当をしていた時とシステムが変わっていなければ
「まぁ、無理だったらマーラーの交響曲第5番だけでいいよ。 頼むな」
「はい」
◇◇◇◇◇◇◆
スリンディレとレキシアデーレには、マンションの3階に住んでもらおうと考えている。
「スリンディレには東から3番目の部屋を、レキシアデーレには、その西隣の部屋を使ってもらいてぇんだが……どうだろう?」
「はい。わかりました。 ありがとうございます」
「ありがとうございます」
ということで、このマンションの住人は、次のようになった。
10階。東から、シン(シェルリィ、キャル、シャル)、シオリ。
9階。東から、スケリフィ、カークルージュ、キャル、シャル。
8階。東から、ソリテア、インガ、ヘルガ、タチアナ・ロマノヴァ。
7階。東から、ディンク、カーラ、ゼヴリン・マーロウ、さゆり。
6階。シェリー、ラヴ、ラフ、ミューイ。
5階。神殿騎士試験受験生の3人が住む。最も西の部屋にシェルリィ。
4階。空き部屋が4部屋。
3階。東から、ニング、ロッサナ、スリンディレ・クラルケ、
レキシアデーレ・ストリドム。
2階。東から、ベックス、ティーザ、レイチェ、タニーシャ。
1階。
「うわぁ~! すごいですね! こんな
「ああ、もちろんだとも。 好きに使ってくれ」
トイレや色々な
特に二人はトイレには驚いていた。
ふっふっふっ!
その後二人は自分たちが住んでいた部屋に、
"
◇◇◇◇◇◆◇
1階ホールへと
「ん? どうしたんだぁ?」
「あ、シンさん! この方が自殺をしようとしていたところを
インガの話によると……
俺たちが村へ行っている
そして、その帰り道。
今のフィアンセたちの力に、この女性の力では
その女性は"死なせてくれ"と必死に
あまり
「この方は神様よ。だから、何があって死のうとしたのかを話して? どう?」
「ううう……わ、私なんか生きていちゃいけないんです……うっうっ……」
彼女の話をまとめると……
彼女はある有名商業ギルドに
めちゃくちゃだなぁ……かわいそうに……。
どうやら
この
彼女は
怖くて外出することすらできなくなってしまったらしいのだ。
このままでは
彼女は
でも、どちらになることも
「ありがとう。よく話してくれたね。 こうして話をするのもつらいよね。
俺が必ず力になってあげる。 だから安心してね。
もう一人で
俺が絶対にお前さんを助けるから! 絶対にね!」
かわいそうになぁ……。
彼女の魂の色は "青" だ。
彼女のように仕事が原因で精神的に
彼が…友人がなぜ自殺してしまったのかは、死後に発見された日記で分かった。
彼もIT企業に
彼は、彼が
サポートの仕事を彼に押しつける時に
『システムを作った人間が、それを一番よく分かっているだろうから……』
というものであった。
彼はサポート用の携帯電話を24時間持たされ、対応をさせられたらしい。
彼は仕事ができる優秀な人間だった。
製造業から、チェーン
彼は数多くの開発に
製造業は土日休みが多いが、アパレルショップは土日が書き入れ時だ。
つまり、サポートに休みはない。
彼は、形の上では夏休みも年末年始の休みも"しっかり取得している"ことになっていたが、サポート用の携帯電話を持たされていたのだ。 気の休まる時がない。
やがて彼は
社会情勢や、年齢的なハンデから、転職が非常に
その上更に、その時の彼は心がかなり弱ってしまっていた。
その当時の彼は携帯電話を見だけで
だから、彼は携帯を
この、携帯の解約という行為が彼の再就職活動にとっては
そのうち彼は、
彼は退職金は
だが、失業保険がもらえるようになっても……
その
彼が失業後、年金等の切り替え手続きをしに関係各所に行った際、担当者からは、そういった
なんとも不親切なことだ!
毎月の国民健康保険税や国民年金保険料の支払いはかなりの金額だったらしい。
そのうちどちらも払えなくなってしまい、
国民年金保険料の方は
国民健康保険税の方はダメだったようだ。支払額が減額されることはなかったとのことだった。
この頃から彼は自殺を考えるようになったようで、自殺用のロープ等も手に入れたようである。
彼は人に
生活保護を受けることもしなかった。
自分みたいな者に税金を使わせるのは申し訳ないと考えていたようだ。
高熱が出て、
国民健康保険税を支払うために用意してある金に手をつけることができず、必死に
これで死ねるならその方が嬉しいと日記には書いてあったらしい。
何のための国民健康保険税なんだろう……
その事実を知った会社が、あろうことか、彼に発注していた"かつての同僚たち"に対し、彼への発注を禁止したのだ!
そして、それは彼を自殺へと追い詰めるトリガーとなってしまった。
後で分かったことだが……
実は会社が彼への発注を禁止したのではなく、クソ上司の独断だったらしい。
彼の日記には『もうダメだ』と記されていた。
両親や世話になった人たちへの
彼は、借りていたアパートを汚さないようしたかったんだろう……
紙おむつを身につけて、頭からビニール
彼の
彼はガリガリに
彼の死の前日が支払期限である"国民健康保険税の
その話を聞いた時、自分もITブラック企業に
だから、彼の自殺とそれに
彼の通夜は、何年も会っていなかった大学時代の友人たちと顔を会わせる
ひとりの男が彼をバカだと言った。 楽な道を選びやがって……とも言った。
『ああ……コイツはきっと、本気で死のうとしたことなんてないな……』と感じたことを、今でもはっきりと覚えている。
俺は最愛の人を殺された時に、後を追って死のうとした。 だが……
何度も何度も死のうとしたのだが、結局、
俺が
自分で死ぬ
おっと、いかんいかん!
今、目の前にいる女性が、自殺した
「
ところで、ここにいる女性たちとでも、話をするのが怖いかな? どう?」
「いえ、みなさん優しいからなのか大丈夫です。 不思議と怖くありません」
「もしよかったらだけど、俺たちをサポートする仕事をしないか?
神殿に
あ。もちろんちゃんと給料は払うよ。
俺たち以外の "人" とはまったく会う必要がない仕事なんだが、どうだろう?」
「
彼女は涙を流す……
そうなんだろうと思う。
でも、
お節介のようでも、背中を押してくれることがありがたいってことはあるよな。
「そうか、ありがとう。助かるよ。 無理せずボチボチとでいいからね。
仕事が合わないようだったら、その時はまた
「はい……」
ん? 何か
あ、そうか! 人に会うのがつらいんだもんなぁ……
「そうだ!
部屋は用意するからさ。 あ、もちろん無料で住んでもらっていいから。どう?」
「うう……どうやって
お、お
にこにこしながら話を聞いていたインガに向かって彼女が話しかけた。
「みなさんはお幸せそうですね?
暗に自分は苦労しているのに……というニュアンスが感じ取れたのだ。
『インガもソリテアも、苦しくてつらい
そう思った俺は思わず
「"
人は誰もが皆、苦しみや悲しみを
本人たちは黙っているがな。 それぞれが色々
「す、すみません。
「
怒ってるわけじゃねぇんだけどな、そう聞こえちまうよなぁ、すまん」
「いえ」
「それじゃ、メイグズ、お前さんの部屋へ案内するな。
シオリ、インガ、ソリテア、お前さんたちも来てくれ」
「「「はい」」」
「え? どうして私の名前をご存知なんでしょうか?」
「ははは。 俺は
「な、なるほど」
「さあ、ここだ。ここは4階の一番東の部屋だ。ここを使ってもらおうと思う」
「ありがとうございます」
中に案内して、設備の使い方等の説明をした。
メイグズは驚きと嬉しさとが
メイグズが加わったマンションは、次のような部屋割りになった。
10階。東から、シン(シェルリィ、キャル、シャル)、シオリ。
9階。東から、スケリフィ、カークルージュ、キャル、シャル。
8階。東から、ソリテア、インガ、ヘルガ、タチアナ・ロマノヴァ。
7階。東から、ディンク、カーラ、ゼヴリン・マーロウ、さゆり。
6階。シェリー、ラヴ、ラフ、ミューイ。
5階。神殿騎士試験受験生の3人が住む。最も西の部屋にシェルリィ。
4階。東から、メイグズ。空き部屋が3部屋。
3階。東から、ニング、ロッサナ、スリンディレ・クラルケ、
レキシアデーレ・ストリドム。
2階。東から、ベックス、ティーザ、レイチェ、タニーシャ。
1階。
いやぁ~、残りは
本当に
◇◇◇◇◇◆◆
新しい仲間が増えたこともあり、今夜もバイキング形式の夕食となった。
新しい仲間たちもみんな嬉しそうに夕食を楽しんでくれたようだ。よかった。
夕食の
「こんやはねぇ、シオリおねえちゃんのところで、おとまりなのぉ!
ぱじゃまぱ~てぃ~なのぉ! いいでしょ~」
(こく! こく!)
「おやすみなさーい。 がんばって下さいねー」
ん? キャルが顔を "くしゃっ" と?
あ、続いてこんどはシャルもだ……?
ああ、なるほど分かった! ウィンクをしているつもりだったのかぁ……ははは。
シェルリィが "パチッ" とかわいらしいウィンクを決めたので、キャルとシャルが何をしたつもりだったのかが分かった。 ははは、かわいいなぁ~。
はぁぁ~、
ん? なんでウィンクしていったんだろ? 何の意味があるんだろうか?
そういえばシェルリィが妙なことを言っていたな? 『がんばって下さいねー』?
なんのことだろう? 俺はいったい何をがんばればいいんだ??
その意味は
「な、なんじゃこりゃぁーーーーっ!!」
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