第0009話 幼女たちが見た地獄
「神ちゃま、ころされちゃうの……たすけてなの……」
助けを求める声は
マップを
この町の
そこには
そしてその幼女ふたりの生命体反応のすぐ
「シオリちゃん、俺に助けを求める幼女の声が
また悪いけど、みんなを
俺はとにかく幼女ふたりのことが気になって、
だから、シオリの
転移した先は……
俺の目の前では、男が右手を大きく振り上げている!
男の前に立つ幼女に今、まさに!
『後ろにいるものには
まるで "通せんぼ" をするかのように
彼女の
その目には
顔や
両手両足にロープで
「えぇぇい!
男は、目の前の少女の顔を
今まさに、幼女の顔をめがけて、ストレートパンチが
"ギョッ!?"としている男を幼女から遠ざけようと、
ダン…ダン…ダン……ブベッ!! ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!
男は強制的にバック
地下室の
その直後男は
俺の右手には、男の右腕が
そのちぎれた腕からは血がダラダラと流れている!?
??……げっ!? 腕を引きちぎっちまった!
「傷口だけを修復!」
と、念じながら
ちぎれた腕を持っているのも気持ちが悪い……
それで、ちぎれた腕を男の方へと放り投げて返しておく。
腕は血をまき
おっと! 幼女にこんな光景を見せてしまったのはマズかったな……。
ん? ふぅ~良かった! 幸いにも俺が邪魔でよく見えてはいないようだ!?
俺は
俺は、とにかく
「君の助けを呼ぶ声が聞こえたから助けに来たよ。 もう大丈夫だよ」
「神ちゃま?」
「ああ、そうだよ。今傷を治してあげるね」
「キャルは後でいいの。 妹を助けてなの……シャルが死んじゃいそうなの……」
女の子が後ろを振り返る。
と、そこには、もうひとり彼女と同じくらいの歳の女の子が床に倒れており、
顔は
「今すぐ治してあげるからね……完全修復!」
目の前の女の子、キャルと、その妹だという、床に倒れている子、シャルの双方に【完全修復】を
淡い緑色をした光のベールがふたりを包み込み、すぐに消える……。
「わぁ~、きれいなひかりなのぉ! ああぁ…消えちゃったぁ…」
キャルは、自分たちを
ふたりの傷は
「ああ、シャル! よかったぁ…たすかってよかったの……ううう」
「……」
ふたりは涙をポロポロと
ん!? シャルは一所懸命しゃべろうとしているが……声が出ない!?
右手でキャルの頭を、左手でシャルの頭を俺が
「うわぁーーん! 神ちゃまぁ~! こわかったのぉー!
いたかったのぉ~! たすけてくれてありがとうなのぉー!!」
「……」
シャルの方は口を動かしているが、
ふたりは
彼女たちの勢いに
彼女たちを俺の両腕で、しっかりと抱きとめると、彼女たちを抱いたままあぐらをかき、左右の "もも" にひとりずつ
「怖かったね。 痛かったよね。
もう大丈夫だからね」
彼女たちの頭を撫でながら【魂の履歴】とステータスを確認してみることにした。
すぐに
それで……どのような
彼女たちを
……事情聴取は後だな。 しばらくは
ステータスによると、ふたりとも5歳の犬族の女の子でふたごの姉妹であった。
獣人族国家、ニラモリアの出身で、農業をしている実の両親がいた。 彼女たちは4人家族であった。
"
今から5ヶ月ほど前のことである。 彼女たち一家はノルムの近くの街道を西へと向かって
みんなは希望に胸を
一家はずっと楽しい旅をしてきたのだが……そこへ
ノルムから40km程離れた西へと向かう
……
子供たちを守ろうとした両親は、闇奴隷商人どもに
愛玩奴隷としての人気が高いのは3歳くらいまでらしい……。
当時5歳に近い年齢だった彼女たちはずっと売れ残り続ける。
5歳になるまでは店頭で高額な価格で販売されていたのだが……
5歳になった
それでも
魂の履歴に記録されている映像データを見ていて胸が悪くなった。
全身の
ふと日本のホームセンター等で売られているペットたちの姿が頭を
日本人だった時の記憶である。
俺はたまに
俺が彼の前を、その犬の前を通ると、いつもトコトコと
彼は、その犬は、人にはあまり好かれないかも知れない個性的な顔立ちだったが、
その犬がいなくなった日は、気が
当時の日本では
キャルとシャルはいつ
彼女たちの命を救った "ヒーロー" であるかに思えたあの男は、とんでもないクソ野郎であった!
ストレス
彼女たちが買われて今日で3日目。
この3日間、男は時間が
シャルが男に
意識を失ったシャルに対しても、
キャルは
キャルが、両手両足を
俺は
今すぐ壁のところに転がっているクソ野郎を、ボッコボコのギッタンギタンにしてやりたい
幼い子供たちに、
だから、必死に! 必死に
まさに、彼女たちは
だが! 小っちゃな彼女たちが体験した
時間が
俺は神であるのに、現状では
今回は無理だが……システムを変更することも
そういえば……シャルはなぜしゃべれないのだろう……?
うすうすと感づいてはいたのだが……
シャルがしゃべれないのは、外傷等によるものではなかった。
目の前で両親を殺された精神的ショックが主な原因である。 神術で簡単には治せないのが歯がゆい!
「さぁそれじゃぁ~、さっさとこんなところからはおさらばしようか?」
「あのあの、どこへいくのぉ? もうここにいなくてもいいのぉ?」
「ああ、もちろんだとも! もし良かったら……なんだけど、これからは俺と
「うん! キャル、神ちゃまとくらすのーっ!」
(こくこくこく……)
シャルは何度も何度も
キャルもシャルも、とてもかわいらしい笑顔だ。
「これからね。俺の仲間のところに行こうと思っている。 人族の女の人がたくさんいるけど、びっくりしないでね?」
「仲間ぁ? 人族なの?」
(ん?)
シャルは
「ああ全部じゃないけどね。獣人族の女の人もいるよ~。 たぬき族だったかなぁ?
それとエルフとかぁ、ドワーフとかぁ……みーんな優しいからね、心配しなくても大丈夫だよぉ」
「うん、分かったぁー! キャル行くぅー!」
(こくり!)
たっぷりと……なっ!!
「じゃぁ、俺にしっかりと
「はいなの!」
(こく!)
「転移!」
「きゃぁ~~! かわいいー! かわいいー! ……」
神殿前広場に転移すると、
あまりの
「カーラ! ちょっと待て!
この子たちはついさっきまで
だから、大きな声を出すのはNGだ!
「す、す、すす、すみませーーん」
先ほどとは打って変わって小声で
みんなも続々と集まってくる!?
「みんなに紹介するな。 この子がキャル、そして、この子がシャル。
ふたりはふたごで5歳だ。 ふたりは
「みなさん、キャルです! よろしくなのぉ!」
(ぺこり!)
シオリを始め、仲間全員が、にこやかにお
「うん! ふたりとも
「はいなの!」
(こくり!)
神殿騎士見習いの獣人族、ラフが近づいてきた。
「あんたたちも犬族なんだね? うちもなんだよねー。 よろしくね」
「はーいなの!」
(ぺこり!)
えっ!? ラフは "たぬき族" じゃないのか!? "犬族" だったのかぁ!?
そういえば彼女のステータスをしっかり確認したことがなかったな……。
キャルとシャルの服はボロボロだ。靴も履いていない。
だから、俺は今ふたりをだっこしたままでいた。
そのことにようやく気付いた俺は、彼女たちの服を作成することにした。
さてと……どうするかなぁ?
下着と、そうだなぁ……ストレッチデニム素材のショートパンツ、太めの革ベルトつきにしようか?
いや! ベルトじゃなくて、ゴムひもが入ったやつの方が便利だろうな……。
上はグレーのTシャツの上に、ポケットがたくさんついているデニムのベスト。
ノースリーブで
よし! イメージはできたぞ!
「キャル、シャル、今から身体を
「ふくぅ? 新しいふくぅ?」
(わくわく! わくわく!)
シャルがワクワクしているな。 かわいいなぁ。
「ああ、そうだよ。 あまり格好良くないかも知れないけどね」
「うれしいの! はやく! はやく!」
(わくわく! わくわく!)
俺はテントを新しく生成して設置し、ふたりをだっこしたままその中に入る。
ふたりをテントの床にゆっくりと下して、彼女たちを残してテントの外へ出ようとすると……。
「おいてかないでなのぉ~。 こわいよぉ~」
(うるうる……)
「大丈夫だよ。 テントの外にいるからね。
君たちが
「ほんとなの?」
(うみゅ?)
おお! シャルが左手の
ん~~!
「ああ、本当だとも! 外にちゃんといるからね」
「は…い、なのぉ……」
俺はテントの外に出ると、"ちゃんとここにいるよぉ~"とアピールするために声を出しながら神術を使うことにした。
「それじゃぁ、始めるよ! ……身体を浄化! 下着、衣服、靴を装着! ……」
まぁ、本当は声に出さなくてもできるんだけどね……。
「うわぁ~! すごぉ~い! かっこいいの~! すてきなの~!」
ファッションセンスがない俺は、
まぁ、気に入ってくれたのなら幸いだな!
テントの入り口の前に
「どうだい? 気に入った?」
「うん! うれしいの!」
(うん! うん!)
喜んでもらえているようだ。
おお~、シャルも大きく
◇◇◇◇◇◇◇
「ところで、シオリちゃん、何か変わったことはなかったか?」
「はい。特に…大したことはなにもありませんでした。
ただ……ガラの悪い男どもが『
シオリの視線をたどると、そこには、むさい男どもが
みんな意識を失っており、
「シオリちゃんがやったのか?」
「いえ、神子たちに相手をさせました。
神子たちに自分のSTRが、今どれくらいなのかを知ってもらうつもりでしたが、相手が弱すぎて話になりませんでした。
彼女たちが、ちょんと
「な、なるほど。 今の彼女たちにかなう相手はそうはいないだろうからなぁ~」
「はい。 シンさんが子供たちを救出して帰ってくるまでにそれほど時間がかかっていませんので、あとは特に何事も起きませんでした。
みんなでお茶をしながらシンさんの帰りを待とうということになり、今から準備を始めるところでした」
シオリはキャル、シャルに
「キャルちゃん、シャルちゃん、ふたりも
お
「するぅー!! おかし大好きなのー!!」
(こくこくこく……)
「じゃぁねえ……おねぇちゃんを手伝ってくれるかなぁ?」
「いいともなのー!」
(こくこく!)
『シンさん、この子たちの
私たちがこの子たちの相手をしていますから……
どうぞ
『ははは。 さすがシオリちゃん、よく分かってるな!
それじゃぁ! 行ってくる! 後を頼むな! いつも
『いえいえ、悪いだなんて
『転……おっと、その前に……』
俺は、
子供たちの数も入れて、人数分+αで計30
食堂には、子供用の
「わぁおなの! 神ちゃますごいの!」
(あんぐり!)
シャルの驚いた顔が、またまたかわいい!!
「今からこの
ふたりも手伝ってあげてね?」
「はいなのー!」
(こくり!)
「ちょっと俺は用事があるから出かけてくるけど、ふたりはみんなと一緒にお菓子を食べながら待っててくれるかな?」
「はーーいっ! お待ちしてますなのぉー!」
キャルもシャルも、まるで
彼女たちはふたりとも、
「じゃぁ待っててね。 ちょっと行ってくるね」
「はいなのぉー! 神ちゃまのお菓子はちゃんと取っておくのぉ!」
(うんうん!)
「ははは。ありがとうね。 頼むよ」
『シオリちゃん、ここの食堂を使ってくれ。 さすがに、飲み物やお菓子類は作っている時間がねぇから、あとは頼む!』
『承知しました。お気を付けて……』
「それじゃあ、お留守番は頼んだよ!」
「はーーいなの! いってらっしゃ~いなのぉ!」
「シオリちゃん、それじゃぁ行ってくる! ……転移!」
キャルとシャルを
「うわっ!? な、なんじゃ、こりゃあーっ!!」
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