8.困った氷琥珀

「あ~、今年も氷琥珀の季節が来たか」


 最低気温がマイナスの数値を示す時期が来ると、救急隊員が愚痴をこぼすことが増える。


 氷琥珀――最北極と最南極の魔力を帯びた氷で作った琥珀糖である。冬場にしか扱えず、この季節しか出回らない。


 なぜ氷琥珀が救急隊員に嫌がられるのか。

 曰く、氷の琥珀糖を口にすると、何万分に一の確率で、全身が氷におおわれてしまうとか。

 故に、パーティでのロシアンルーレット・ゲームで使われることが多いのだ。


「運が良ければ手だけで済むけど、稀に基準値以上の魔力がかかってる菓子があって、最悪死に至るんだよね……どっかの金持ちがやり始めてから流行ってさぁ……ほんと早く廃れないかな~」


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2017-02-04

#Twitter300字ss

お題:氷


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