4.朝焼けの発泡(ソーダ)水
夜明けの空からポトポトと落ちてくる朝焼けをボトルに詰めるのは、僕の仕事だ。
家に戻ると、母さんは青と茜色のグラデーションが出来たボトルの中に、遠い山で採れる発泡玉を入れる。そして、魔法菓子職人の母さんが呪文を唱えると、発泡玉から小さな泡がたくさん出始めた。
「これは夏の風物詩の飲み物ね。店の前の冷蔵庫に置いておけば、よく売れるわ。冷えてるのが良いのよ」
そういえば子供の頃、外から帰ってくると、いの一番に取り出しに行ったことを思い出した。
「味見してみて」
渡された発泡水を一口含む。飲み込めば、口の中で空気がはじける爽やかさ。身体を元気にさせる甘さと酸味が、暑い夏を予感させた。
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2016-07-02
#Twitter300字ss
お題:のむ(飲む)
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