第2話幽閉初日1

「くっくっくっく。

 いいざまだな、ダイアナ。

 それが私に逆らった報いだ。

 私の言う事を聞いて、身を任せればよかったのだ。

 そうすればこんなみじめな事にはならなかったのだ。

 どうだ?

 今からでも遅くはないぞ。

 この場で私に抱かれるか?

 こいつらの見ている前で、大人しく私に抱かれるのなら、塔から出してやるぞ」


 色情狂の王太子が、腐りきった性根がよくわかる戯言を口にしています。

 どうやらカミラの眼を盗んで、私を抱こうというのでしょう。

 しかも、下種な取り巻きの前で抱いて、私を貶めるつもりのようです。

 本当に馬鹿です。

 私がそのような恥知らずだと、本気で思っているのでしょうか?


「私を貴男やカミラと同等の屑だと思わないで。

 私には貴族の誇りがあります。

 貴男のような獣とは違うのです。

 守護神様の聖女を犯すなど、国を滅ぼす大罪です。

 そのような悪鬼の所業を平気でおこうなど、愚者か狂人でしょう。

 狂人が人の前に立つのではありません。

 とっとと立ち去りなさい!」


 わずかな期待を込めて、無駄なのは頭では分かっているのですが、それでも期待してしてしまうのです。

 色情狂の取り巻きはしていても、どこかに貴族の誇りが残っていると。

 この国を滅ぼさないように、色情狂を諫める者が現れるかもしれないと。

 ですが、やはり、そんな者はいませんでした。

 そんな誇りを持っている者が、色情狂の取り巻きになるはずがなかったのです。


「おのれ、おのれ、おのれ!

 私を狂人の愚者だと言うか!

 ならば狂人の愚者がどのようなモノか、その身体に思い知らせてやる。

 お前達はこの雌が動けないようにしておけ。

 私が終わった後にやらせてやる。

 聖女を務めた公爵令嬢を抱ける機会など、もう二度とないぞ」


「「「「「うへへへへ」」」」」


 このようなモノたちに、僅かでも期待した私が愚かでした。

 下衆はどこまで行っても下衆です。

 屑はどうやっても屑のままです。

 ならば手加減する必要など全くありません。

 叩きのめすだけです!


 色情狂で愚者で狂人の王太子と婚約した時から、色情狂を御してこの国を護らなければいけないと、深く心に決めて自分を鍛えてきました。

 生れや家柄を誇るだけで全く努力せず、ブクブクと肥え太っている色情狂と取り巻きなど、片手でぶちのめせるだけの鍛錬を重ねてきたのです。

 もう一切の容赦をしません。

 この事が国王や重臣に届くように、半殺しにしてやります。


 取り巻きなど無視して、最初に色情狂を叩きのめします。

 右手で二本貫手を放ち、色情狂の両眼を潰して失明させます。

 ですがそれだけでは済ませません。

 左手の正拳突きで喉を潰します。

 これで死ぬようならば死ねばいいのです。

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