パンドラの恋人

作者 ユーリ・トヨタ

78

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★★★ Excellent!!!

援交というキーワードから紐解かれる結末は想定内のことが多い。
ヒロインの思惑通りに運ぶ破滅への道筋に、ふと入り込んできた『彼』の存在。想定内の展開を待ちながらも、その過程で大いに読み手の心を揺さぶる筆力は、ついついページを進めたくなる。
多感な高校生ならではの衝動的な発言と行動、警察沙汰になった時から弁護士をつけるまでの細かな知識、事件が起きた時の家族の「想い」など、小説に相応しい想像(創造)と事実が上手く練りこまれた一作☆

歪んだ心の持ち主(ヒロイン)が見た目も心も少しずつ変化する様子に、名曲『木枯らしに抱かれて』のワンフレーズが浮かんできました。

★★★ Excellent!!!

異世界ファンタジーでもなく、ラブコメでもなく、流行りのジャンルをわざと避けたような内容にエールを。
途中までは王道の恋愛物なのですが、いつの頃からか逸れて行き、最後は。。。
最近はファンタジー系統しか読んでいなかったので、すごく展開が新鮮に映りました。こういう、ちょっと考えさせられる物語は、本当に多くの人に読んでいただきたいと思います。

★★★ Excellent!!!

パンドラはギリシャ神話で人類に厄災をもたらすとされる女性ですが、その名前から想起される不穏なイメージにふさわしい陰鬱なオープニング。

高校生の綾はとある事情から社会を恨み、復讐のために「援交」という手段を選ぶけど、その決意が揺らぐ事件が起きて。

甘酸っぱい恋物語に激辛ラーメンがアクセントのように効いてます。

人を寄せ付けず、「氷姫」というニックネームをつけられている綾がだんだん変わっていくのがよかったです。

★★★ Excellent!!!

思春期まっしぐらの高校生が抱いた恋心。男子側から、女子側から、衝撃的な事件を交えながらも昇華していく過程を描いた、渾身のラブストーリーです。ショッキングなオープニング。まず最初のシーンで、読み手に振り下ろされる大きな鉄杭。
「氷姫」と呼ばれる超美形の女子高生である綾が、なぜ復讐のために援交を始めたのか。いったいどんな陰鬱な物語が繰り広げられていくのか、少々ドキドキさせられます。一方、主人公の俊は恋人の彼女に振り回される、おっとりとした性格の男子高校生。ある日父親が逮捕され、しかもいきなり崖から突き落とされるような事実まで発覚してしまいます。この二人がどういう道をたどって、なにを求め掴むことができるのか。丁寧な描写で綴られており、いつの間にか読み手は感情移入していきます。心震えるエンディングを、ぜひ味わっていただきたいと思います。

★★★ Excellent!!!

自分の家族がバラバラになったのは社会が悪いのだと、十八歳未満の自分の体を武器にして社会への復讐を違う綾。

そんな綾が、援交の帰りに街でクラスメイトを見かけます。
彼の名は俊。彼は明るい店内で恋人と一緒にいました。

不幸を背負い、復讐を誓う自分とはかけ離れた存在だったはずの彼。
偶然が度重なるうちに、どんどんと二人の距離は縮まっています。
しかし、俊への恋心を自覚する頃、思わぬ接点が二人を繋ぐことになり──

開けてはいけないパンドラの箱。
それを開ければ、飛び出てくるのは災厄の連続。
ギリシャ神話では、最後に箱の底には「あるもの」が残っていたとされていますが、二人の間に残るものはあったのか。

青春ならではの初々しさを感じつつ、二人の行き着く先を見届けてください。

★★★ Excellent!!!

自身の復讐の為に援交を通じて他人の家庭を破滅させようと企むヒロインという設定に、出だしからやられました。

しかし、この設定が実はダークな設定ではなく、物語のキーワードにつながると後にわかります。

こちらの作品のキーワードは、おそらく人間関係の嘘だと思います。登場人物たちは、誰もが色んな事情を抱えているがゆえに、こうあるべきという概念に縛られている、つまり、自分に嘘をついている状態にあります。

その為、本当に望むことに対して億劫になったり、目をそらしたりするわけですが、
やがて気持ちが抑えきれなくなった時に、嘘の代償のような災難が襲いかかってきます。

そうした状況と対面した時にどう判断するのかというのが、こちらの作品の見所ではないでしょうか。青春の不安定な空気感の中、未成年であるがゆえに簡単にはいかない問題などが出てきますが、ラストがどうなっていくかを皆さまご自身の目で確認していただけたらと思います。

青春ものが好きな方はもちろん、ヒューマンドラマが好きな方には特にオススメです。ネタバレになりますので詳しくは書けませんが、最後はよかったと思える素敵な作品でした!!

★★★ Excellent!!!

自分の家族を崩壊させた社会が憎い。だから社会的地位のある人を、破滅に追い込む。それが彼女、長谷川綾の考えた復讐だった。

高校生である自分と援交して、その事が明るみに出れば、相手の人生は終わる。
銀行のお偉いさん、政治家、役人、裁判官。社会的地位のある人ならだれでもいい。復讐の相手に相応しい人間はいないかと、援交を繰り返しながらターゲットを探す綾。

しかしある日、街を歩いている所を、クラスメイトの高橋俊が目撃して。後で思えばそこから綾の、そして瞬の運命も、大きく変わっていきました。

復讐なんてしたって何にもならないよ。もっと楽しい事を探そう。この話を読んでいて、何度そう思った事か。
実際に、楽しい事はたくさんありました。綾と俊が文化祭を楽しんだり、綾と俊が仲良くなったり、綾と俊が互いを意識して、ドキドキしたり……。そこだけ切り取れば、胸キュンな青春小説ですよ!

復讐を諦めきれない綾ですけど、俊と同じ時を過ごすことで、彼女は変わることができるでしょうか?
切なくて、そして熱い想いを秘めた、青春小説です。

★★★ Excellent!!!

援交を繰り返す少女、綾。全ては、家族を崩壊させた社会に対する復讐のために。
これを聞いた時点で、眉をひそめる方も多いのではないかと思います。実際彼女の動機を知っても納得できない部分は多々ありますし、どんな理由があっても肯定することはできません。

ですが、かといって彼女に悪い印象をいだくかとそうではなく、むしろ心配し、だからこそなんとか思い直してほしくなる。しかし残念ながら、読者がいくらそう思っても、それが直接彼女に届くことはありません。

物語のもう一人の主人公が、そんな綾の高校のクラスメイト、俊。
綾に変わってほしい読者としては、彼こそがその鍵になるのではないかと、期待せずにはいられません。だからこそ、そんな二人が一緒にいて、俊が綾の心を揺らすたび、何度頑張れと応援したことか。
しかし二人には、想像よりもずっとずっと過酷な運命が待ち受けていたのです。

果たして綾は変わることができるのか。そして二人の行方は?