第76話 再会、そして──

「おじい様ぁ~!!」


「エルリン!!」


 感動的だ……。

 感動的な再会だ……。


「ぐすっ……おじい様……会いたかったですわ……ずっとずっと会いたかったですわ……」


「ワシも会いたかったぞ……エルリンや……」


 涙を流しながら、ギュって抱きしめあってる。

 うぅ……私まで泣きそうだ。


「待たせてしまいましたわ……でも、お元気そうでよかったですわ」


「長い間すまんかったのう……こんなに立派に育って……」


 ずっとお互いのことを思ってたんだね。

 大切な家族なんだね、ステキだな。

 ところで……。


《一斉射撃を継続! 侵入者を撃退します!! 繰り返します、一斉射撃を──》


 ビームの雨が止まらないんだよ……。

 大した攻撃じゃないんだけど、流石にうっとうしくなってきた。

 二人の邪魔をしちゃうかもしれなけど……仕方ない。


 ダークマター! ビームを反射!!

 全部跳ね返しちゃって!!


《一斉射撃を継続くくくッ!? プスンッ……》


「む? 今のダークマターの反応はなんじゃ?」


「そうでしたわ、ソーラに任せきりでしたの」


「気にしないで、ちょっとビームを跳ね返しただけだから」


「ビームを跳ね返す……サラッと凄いことをしてますわね」


 そうなのかな?

 全然大したことなかったけど。


「強力なダークマターを感じる、お主は一体……」


「彼女はソーラ、特異点ですのよ。おじい様の救出に力を貸してくれましたの」


「よろしくね、おじいちゃん」


「特異点! そうか、お主が……」


 それにしてもおじいちゃん、随分元気そうだね。

 ずっと閉じ込められてたのに、全然そんな感じはしないよ。

 流石は元ユニオンマスターってところかな?


「それじゃあエルリン、次はスプリィムを──」


「スプリィムじゃと!?」


 うぇっ!?

 急に大声を出さないでよ、ビックリしちゃう。


「あの女狐め、まだ生きておるのか! 卑怯な色気でワシを騙しおって、許せん!!」


「「色気?」」


 ……いやいや。

 まさかね……違うよね……そんなわけないよね……。

 うん、そんなわけない!


「おじい様、もしかして……色仕掛けでスプリィムに負けましたの……?」


「エルリンよ、それは違うぞ」


 あ、よかった。

 やっぱり違ったみたい。


「ちょこっとだけじゃ、ちょこっとだけ大きなお尻に誘惑されてのう、それで……」


「「大きなお尻!?」」


 違わなかったかぁ~。

 このおじいちゃん、色仕掛けでやられたんだよ。


「おじい様! 最低ですわ!!」


 ホント最低だよ、とんでもないエロじじいだ。

 ところで、大きなお尻っていうのはちょっと気になる……。

 いやいやっ、私はおじいちゃんとは違うんだから!


「違うんじゃエルリン、信じておくれ」


「十年も! 十年も苦しんだのですよ!! なんですかお尻って!!」


「まったくだよ、エルリンは大変な思いを──痛っ!?」


 何!?

 頭が割れる……!?

 景色がグニャグニャゆがむ……。


「あ……あうぅっ……!?」


「ソーラ? どうかしましたの?」


 この感覚……分身が消えた?

 ……いや違う、消されたんだ。


 頭の中に……イメージが……。

 黒い部屋……光る水槽……それから……。


「ソーラ! しっかりしてください!!」


「大丈夫……でも大丈夫じゃない……!」


 分身が最期に見た光景、それが本体の私に届いたんだ。

 ダークマター……スプリィム……そして……。


「チコタンとミィシャンが危ない!」

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