第65話 特訓の成果

 作戦の準備は整った、今日はヴェーゼ本部攻略の当日!

 軌道エレベーターの前で、チコタンとミィシャン、そしてエルリンと合流。

 ついでに本体と分身も合流だ!


「それにしても、ダークマターを使った分身だなんて、よく思いつきますわよね」


「「ふふふ、まあね!」」


 エルリンが思いつかないのは当然だよ、だってこれは分身の術だからね。

 忍法なんだから、日本人しか思いつかないよ。


「それじゃあ分身」


「そうだね本体」


「「合体!」」


 意識が混ざっていく……記憶が一つに重なっていく……。

 分身はしっかりと準備をこなしてたみたい……ってちょっと待った! ソーラ様号って何!?

 それより本体! マヤマヤとプヤプヤちゃんの入浴シーンってどういうこと!?

 最高すぎるサービスシーンじゃない! 本体め……羨ましい……。


 それから──。


「オエエェェッ!?」


「ソーラ!? 突然どうしたミャ?」


「具合が悪いのですか? もしかしてダークマターの使いすぎですか?」


「大丈夫……なんでもないよ……うっぷ……」


 しまった……全裸マジーメの記憶まで共有してしまった……。

 あの記憶は永久封印だ、作戦に支障が出ちゃう。


「ソーラの準備も完了かナ?」


「それでは起動エレベーターに入りましょうか」


「あ、ちょっと待って! その前にやりたいことがあるの」


 せっかくダークマターの特訓をしたんだから、ちょっとだけ成果を見せちゃおうかな。

 ダークマター、変身!


「うニャニャ……?」


「これはっ!」


「ワタクシ達の体がっ!?」


 よし、我ながら素晴らしい完成度!

 チコタンもミィシャンもエルリンも、ついでに私も、完璧なゴミ溜りに変身だ。

 ゴミっていうか、正しくはヴェーゼの職員だね。青色のヒョロ長い宇宙人達。

 四人同時の変身でも全然疲れなかったよ、特訓の成果が出てる!


「これでエルリンが見つかっちゃう心配はないよね?」


「ダークマターを使って見た目を変えてしまうなんて、本当にソーラは色々と思いつきますわね」


 ダークマター変化の術だからね。

 忍法だから、日本人しか思いつかなくて当然だよ。


「これで安心ですね、では中に入りましょうか」


 さて、エルリンはバレずにいけるかな?

 ちょっとドキドキしてきた……。


《ポートフローンへようこそ、ご用件をお伺いします》


「宇宙に出発するから、宇宙船を出して」


《確認いたします、少々お待ちください》


 とりあえず入り口で止められることはなかった。

 エルリンもバレなかったみたいで一安心だ。


《お待たせいたしました、宇宙船ソーラ様号でのご出発ですね?》


 ぐ……間違ってはないんだけど、その名前は本気で嫌だな。


「その宇宙船であってるよ……」


《ソーラ様号でお間違いございませんか?》


「そうだよ、その宇宙船だよ」


《ソーラ様号でよろしいですね?》


 ぐうぅ……なんとしてでも言わせたいのか……。


「分かったよ! ソーラ様号であってる!!」


《かしこまりました、出発の準備をいたします》


 もう! どうしてわざわざ恥ずかしい名前を言わないといけないの?

 絶対からかわれてたよ!!


「ソーラ様号? もしかしてご自分で名前をつけましたの? くすくすっ」


「ニハハッ、何回聞いても面白い名前だミャ」


「ごめんなさいソーラ、笑いが堪えられません……ふふふっ」


 ……マジーメ……もっかいリサイクルしてやろうか……。

 二度と変な名前をつけられないようにね……。


《ソーラ様号の出発準備が整いました、出発ゲートへどうぞ》


「気を取り直していきましょう! ぷぷっ」


「頑張るニャ! ニャハハッ」


「皆さん真面目にお願いしますわよ……くくくっ……」


 むうぅ……皆いつまでも笑って……。

 このイライラ、全部ヴェーゼの本部にぶつけてやる!

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