第62話 ソーラ様号

《ポートフローンへようこそ、ご用件をお伺いします》


「預けてある宇宙船を引き取りたいんだけど」


《確認いたしますので、少々お待ちください》


 一夜明けて、今日は作戦の準備をする日。

 昨日は皆で本部の偵察に行って、それから夜までずっと作戦を考えてた。

 結局いい作戦は思いつかなくて、私の考えたムチャな作戦で進めることになったよ。


 とにかく今日はその準備。

 今回の作戦では宇宙船を使う予定、作戦に向けて宇宙船をパワーアップだ!

 というわけで、チコタンとミィシャンと一緒に、軌道エレベーターまでやってきました!


「ソーラ……ではなくて、今は分身でしたね」


「うん、でもソーラでいいよ。本体とほとんど同じだから」


「ではソーラと呼びますね」


 そう、ここにいる私は分身体。

 ちなみに本体は、エルリンと一緒に別の準備中。


「作戦は成功するでしょうか、心配です……」


「どうだろう……でも他に作戦を思いつかないから……」


「うナァ~……嫌だニャ~……」


 そうだよね、宇宙船を作戦に使うのは嫌だよね。

 ミィシャンにとっては、ずっと操縦してきた大切な宇宙船だもの。

 ゴメンねミィシャン、でも今は他に方法を思いつかないから──。


《お待たせいたしました、宇宙船“ソーラ様号”、準備完了しました》


「「「ソーラ様号!?」」」


 嘘でしょ!? 私達の宇宙船ってそんな名前だったの?

 ていうか絶対マジーメの仕業でしょ! 勝手に変な名前をつけないでよね!!


「ふふっ……これでソーラ様号を動かせますね……くすっ」


「ニャフフッ……早速ソーラ様号の準備に取りかかるニャ」


「ちょっと、からかわないでよ!」


 マジーメ……褒めてあげようと思ってたけど、もう褒めてあげないっ。

 ミィシャンも心配してたけど、もう心配してあげないっ。


「質問ニャ! 宇宙船を整備する場所はあるかナ?」


《メンテナンスドックをご利用いただけます、ご希望でしたら五番ドックをお使いください》


「了解ミャ! それじゃあソーラ様号をカスタムするニャ。ニハハッ」


「ミィシャン、ソーラ様号をお願いしますね。くすくすっ」


「もう! からかわないでってば!!」


 マジーメ許すまじ、次に会ったらお仕置き確定だ。

 それはさておき、準備はしっかりしなくちゃね。


「頼んだよミィシャン!」


「任せてヨ! バッチリ仕上げてみせるニャ!」


 心配は沢山あるけど、それは気にしても仕方ないもんね。

 やるからには絶対に成功させるんだから!

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