第41話 合体!

 ヴェーゼ本部の地下。

 最下層に設置された大きな扉、この扉の先に子供達が閉じ込められてるんだけど……。


「ダメだ、やっぱり分身の私じゃ開けられない」


「そうですか……予想以上に強固なロックが掛けられていますね」


 この扉、とにかく固いうえにセキュリティが複雑。

 分身の私は使えるダークマターの量が少ないから、強引に開けることも出来ないよ。

 マヤマヤとその仲間達も頑張ってくれてるけど、武器や工具を使っても傷一つつけられない。


 本体だったらなんとか出来るかもしれないけど……うーん、もどかしい……。

 おや? レーダーに反応が。

 この反応は……!


「特異点様、この先でございます!」


「やっと着いた……あっ!」


「あぁっ!」


「分身!」


「本体!」


 遅いよ本体、待ってたんだから!

 チコタンもミィシャンも無事みたいでよかった。


「ソーラさん! ご無事で何よりで……ゲスーチ!?」


「ゲスーチがいるぞ! どういうことだ!!」


「気をつけろ、敵の親玉だ!」


 おっと、ゴミクズの登場で皆が混乱しちゃってる。

 でも本体と一緒にいるってことは、リサイクル作戦が成功したんだよね。


「皆さん落ち着いてください、きちんと説明しますから」


 どうやらチコタンが状況を説明してくれるみたい。

 よし、今のうちに私は出来ることをやっておこう。


「お疲れ様、作戦は上手くいったんだね。流石私の本体だ」


「結構大変だったけどね、分身こそお疲れ様」


「これで私の役目は終わりだね」


「うん、マヤマヤ達をありがとう。それじゃあ……」


「「合体!」」


 おぉ……意識がぐにゃぐにゃする。

 体と記憶が入り混じっていく不思議な感覚だ。


 ゴミクズ、じゃなくてマジーメとの戦いはホントに大変だったんだね。

 チコタンもミィシャンも凄く頑張ってくれたんだ。

 子供達の救助はかなり手こずってるみたい。

 ん? マヤマヤのおっぱいが柔らかかった?

 ちょっと! 私が戦ってる間に私は何をやってたの! なんて羨ましい!!


「──ーラさん」


 まあいいか、合体して記憶も経験も共有したからね。

 マヤマヤのおっぱいか……ふふふっ……これはいい経験だ。


「ソーラさん!」


「うぇっ、何事!?」


「何事、じゃありませんよ。チコタンさんから事情は聞きました、まずはお疲れ様でした」


「あぁ、そっちこそ大変だったね」


「いえ、ソーラさんの分身のおかげでスムーズに作戦が進みましたよ。ところで早速なのですが、子供達の救助について相談がありまして……」


「それなら大丈夫、いい方法を思いついたから」


 さて、早速リサイクルが役に立つ時がきたかも。


「マジーメ、この扉を開けられる?」


「もちろんでございます、少々お待ちください」


 やっぱり、司令官なだけあって扉を開けるのも簡単みたい。


「オペレーションコントローラー!」


《オペレーションコントローラー、起動しました》


「ロック開放、ドアオープン実行!」


《ロック開放中……ドアオープンします》


 よし、これで扉が開く。

 やっぱりリサイクルして正解だったね。


「扉が開きました、ソーラさんありがとうございます!」


「お礼なんていいよ、それより早く中に入ろう」


「はい!」


 子供達、遅くなっちゃったけど助けにきたよ。

 さあ、一緒に外に……え?


「何……これ……?」

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