第27話 お楽しみ

 うーん……気持ちの悪い朝だ……。


 暗い地下、狭いテント、湿った空気。

 こんなんじゃ心も体もじめじめしちゃうよ。


 昨日はマヤマヤ達に出会って、打倒ヴェーゼのために力を貸すって決めて。

 そのあとはテントを借りて寝させてもらったんだけど、正直あまり環境はよくなかったかな。


 でも夜の間はもの凄く幸せだった。

 私とチコタンとミィシャンで一晩を過ごしたからね。

 狭いテントの中で! 三人一緒に!


 もうね、うちゅカワイイ二人にギュウギュウ挟まれてホントに幸せだった。

 二人とも私に抱き着いてくるし、天国にいるみたいだったよ。


 チコタンは顔をスリスリしてくるし。

 ミィシャンはモフモフが最高に気持ちいいし。

 ずっと二人のいい匂いに包まれてて、体中がゾワゾワしてた。

 ああ、思い出すだけで変な気分になっちゃう……。


「おはようございます、ソーラ」


「おはようチコタン! 昨日はよく眠れた?」


「いいえ、眠りが浅かったように思います……ソーラも眠れなかったのですか? 朝から様子がおかしいですが」


「うん、昨日はお楽しみだったからね……」


「お楽しみ? 何を言っているのですか?」


「いやいや! なんでもないよ」


 危ない危ない、思わず本音がでちゃってた。

 昨夜のことは一旦忘れよう。

 それにしてもチコタン、カワイイたれ目がトロンとしてるよ。

 ホントに眠りが浅かったんだね、眠たそうなチコタンもカワイイな……。


「今日は“ヴェーゼを倒すぞ作戦”の会議ですよね」


「うん、会議はお昼頃からだから、もう少し時間があるね」


 そう、今日はマヤマヤ達と本格的に打ち合わせをするの。

 作戦名は、ヴェーゼを倒すぞ作戦。

 ちなみに命名は私、我ながらいい作戦名だよね。


「おはようナ~……」


 あ、ミィシャンも起きてきた。

 寝ぐせで髪がボサボサだ、これはこれでカワイイね。


「おはようミィシャン、よく寝てたね」


「ぐっすり眠ってましたね、寝苦しくはなかったのですか?」


「狭くてギュウギュウでいい寝心地だったニャ」


 狭いところが落ち着くなんて、まるで猫みたいだね。

 猫耳としっぽもついてるし、たまに「ニャ」って鳴くし。

 猫みたいっていうことは、首の下を撫でるとゴロゴロ鳴いたりするのかな?

 あ、ヤバイ……凄く撫でたい……今撫でたい……。

 ミィシャンの首の下……。


「──ラ、ソーラ!」


「うぇっ、何!?」


「何、じゃありませんよ! 揃ったので早めに作戦会議へ向かいますか? って聞いてるんです」


「そっか、そうだね」


 ミィシャンのカワイイ姿が魅力的すぎて、ちょっと意識が飛んでたみたい。

 これは本気でカワイイを制限しないとヤバイかも。

 制限なんて全く出来る気がしないんだけどね……。


「それじゃあ作戦会議にいこうか」


「はい!」


「ニャ!」


 とりあえずカワイイ制限は保留!

 よーし、すっごい作戦考えてやるんだから!!

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