第20話 強行突破
お?
おお?
おおぉ~!
「体がだんだん重くなっていく」
「ちょうど大気圏に突入してるからネ」
「宇宙船だと大気圏に突入するのも安心ですねぇ……生身で突入なんて普通はしませんよねぇ……」
あれ、チコタンが恨めしそうな目でこっちを見てる。
背筋がゾワッとする視線だ……。
まあ気のせいだよね。うん、気のせいってことにしておこう。
「うン? レーダーに反応が……うナァ!?」
「ひゃわっ!」
「うわっ、何!?」
凄い衝撃、宇宙船全体が揺れてたよ。
危うく頭を打っちゃうところだった。
「あー、これはマズいかもしれないニャ」
「マズいって一体何が?」
《未確認宇宙船に告ぐ。こちらはヴェーゼ取締船である。申請のない宇宙船はラハルへの着陸を許可されていない。直ちに着陸の停止、および武装解除し投降せよ。繰り返す──》
うわあ、ヴェーゼ取締船だって。
完全に不審宇宙船扱いされてるよ。
っていうか普通にピンチじゃん!
「ひゃわわっ、どうしましょう?」
「どうするって言われても……どうしよう?」
「そんなの、やることは一つしかないニャ!」
やることは一つ?
もしかしてミィシャン、何かいいアイデアを思いついたのかな?
実は秘密兵器を隠してるとか?
「強行突破あるのミ! しっかりつかまってるニャ!!」
「「強行突破!?」」
まさかの力技だった!
いいアイデアなんて思いついてなかったよ。
「うナ!? これは本格的にマズいニャ」
「今度は何!?」
《重大な警告違反を確認。捕縛装置による不審宇宙船の捕縛を実行。連行を開始する。繰り返す──》
「ニャウゥ……操作不能ダ……」
「ダメじゃん! ヤバいじゃん!」
捕縛を実行? そして連行を開始?
もう捕まっちゃったっていうこと?
どうしようもないじゃん!
「このままだと私達どうなるんだろう?」
「恐らくヴェーゼ本部まで連行されて、尋問や人体実験をされて、最後は処刑……ひえぇ、怖いですソーラ!」
「うニャァ……もっと慎重にいけばよかっタ。ソーラ、ボクも怖いニャ!」
「はふっ!? ふふふ二人とも落ち着いてっ」
スベスベだ! モフモフだ!
いい匂いがする、幸せだ……!!
でもとりあえず冷静になろう? そして私から離れよう?
いや、ホントはこのまま二人に抱きつかれていたいけど。
あ、フワフワで気持ちがいい……っと危ない!
このままだとカワイイが凄すぎてのぼせちゃう。
とにかく脱出の方法を考えないと。
えっと……どうしよう……どうしよう……。
「あレ? ソーラが光ってル?」
「この光はダークマターでしょうか?」
「ホントだ、どうして急に?」
いつの間にかダークマターが集まってきてる。
もしかして私達がピンチだから?
「よく分かんないけど、二人とも私につかまってて!」
「はいぃっ!」
「うニャッ!」
あぁ、カワイイ女の子に抱きつかれるって幸せ!
あとは無事に脱出できれば──。
──いいんだけど。
「って、あれ?」
「え? ここはどこですか?」
「宇宙船の中じゃない、知らない場所ダ」
一体ここはどこ?
金属で覆われた地面、遠くには銀色の建物が沢山。
「ソーラ、ミィシャン、上を見てください!」
「あれは……ボク達の宇宙船だニャ!」
確かに、空の上の方に私達の宇宙船が浮かんでる。
よく見たら私達の宇宙船は丸いカゴみたいなものに入れられてるね。
さっきまで宇宙船の中にいたのに、気がつけば地面に立ってる。そして空の上には私達の宇宙船。
これってもしかして。
「私達ダークマターの力で地上にワープしたみたい」
「ワープ!? ソーラだけじゃなくてボク達までワープしたのかニャ? ダークマターはホントに凄いナ!」
「ですが宇宙船が……」
「あぁ、ボク達の宇宙船が……」
私達の宇宙船がどんどん小さくなる。
銀色の建物が並んでる方に飛んでいっちゃう。
「方角から考えると、ヴェーゼ本部へ向かったようです」
ということは、あっちにヴェーゼ本部があるんだね。
本部なら逆に好都合かも、だって私達の目的地もそこなんだから。
「それじゃあとりあえず本部に向かおうか?」
「はい!」
「だニャ!」
よーし、出発! って言いたいところだけど……。
あそこまで歩かないといけないの?
遠いなぁ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます