第三六二回 二人目は――霧島太郎。(イメージカラーは緑色)


 もうお馴染みだけれど、僕のダーリン。


 ……恥ずかしいけれど、身も心も……お互いを知った仲なの。



 う~んとね、自称は『ウルトラ・タロ』だけれど、愛称は、やっぱり『太郎たろう君』


 市立天王てんのう中学校の二年生。生徒会の次期の副会長……とはいっても、もうその世界では知られている顔だとコッソリと、せっちゃんが教えてくれた。やっぱりあったのだ、もう一つの顔が。せっちゃんも最近知ったという。――それは何か、何なのかっ!



 ……言うと重くなるのだけれど、明らかに僕が原因なの。いじめから……僕を守ることができなかったこと。中一の春雨。……中学は同じクラスではなかったこと。あの日、駆け付けることができたのなら。……四十度近くの高熱に倒れていなかったら。


 悔やまれる。


 そして後悔へと、後ろ向きな毎日。……とても僕に合わす顔がないのだと、繰り返すその思い。そして冬の氷雨。……その思いに寄り添う、赴任してきた瑞希みずき先生。


 厳しくも優しく……

 共に歩むジャッジメントへの道。教えられたそうだ。鍛えられたそうなの。


 だから強く逞しく、そして優しく温かく、

 まるでバイクで駆けるヒーローのように、その極意を身に着けた。――その結果だ。今度こそ空回りすることなく、スクールカースト撲滅に貢献したのだ。



 できた時、鬼の目にも涙。


 瑞希先生と共に、嬉し泣きだったそうだ。その功績を称え、せっちゃんは太郎君をスカウトしたそうなの。推しの後押しをしたのは、紛れもなく瑞希先生。


 太郎君の特技は℮スポ。強さは僕を凌ぐの。だとすれば瑞希先生をも凌ぐ実力なの。そしてバレンタインデーの『冬季・ウメチカ戦』で、僕らはまた共同戦線を行ずる。



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