第三四八回 それでもって、大展開。


 ――まさか、まさかの出来事を、やらかしてしまった。



 残り二件の店舗。……気づけば呆気なくスタンプも採取できていた。あまりにも順調すぎる。そして、可奈かなの様子も段々と変わってきたかのように見受けられる。


 ……多分だけれど、


 メガ牛丼のお陰なのだろうか? 先程までの危険さがなくなったみたいで、まるでいつもの可奈に戻っているようなそんな感じ。今更だけれど、可奈には独特の癖があって怒るとヒステリック。本気だとお鼻をヒクヒクさせているようなの。


 そして、どうも満腹になると、


 ……ご機嫌もご機嫌になるみたい。これもまた多分だけれど、僕以上に食べ物で釣るのは容易だと思われる。――じゃあ、もしかしてあの時、



「何? 私の顔に何かついてる?」


「いいえ、何でもありませーん」


 という具合に、ねっ、間違いないでしょ? ギロリと睨まれても多分、たぶん大丈夫。


 きっと梨花りかも知らなかった可奈の一面。


 僕だけが……きっと知っている。苺クレープではなくメガ牛丼だったら、きっと釣られていたかも……しれないね。って、まあ、そんなこともなかったか……


 最後の店舗は、ジョーマルという名の店舗。


 CMでお馴染みのプロ野球の『虎さん』を応援している店舗だ。それはそれは『プロジェクト・ウメチカ』系列なのだから、やはり関西限定となるのか……


 このスタンプラリーの企画も、どうやらパパが関係しているようなの。ヒシヒシとそれが、何でか脳裏を駆け巡る。そして入手した賞品……僕らが手に入れてしまった。しかも先着三十名の、ちょうど三十番目。最後に残っていた『MS81・マンダム』の限定版をゲット……してしまった。――梨花たちはもう訪れたのだろうか? 

ここに……。



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