第三三四回 やっぱり「おめでとう」だ。


 ――例年通りに、形式や内容の変化があっても、『紅白』は大晦日の夜に放送されるように、年明けには、やっぱり「おめでとう」という言葉が……こだまする、教室に。


 クラスの皆は集う、この教室に。


 登校日数は例年より少ないけれど、僕にとっては多かった。中学二年生になって梨花りかたちと過ごす学園生活は、僕を不登校にさせないくらいに楽しくて、毎日が新鮮だった。



 そして、多くのことを乗り越えてきた。


 ……僕一人じゃできなかった。でも、梨花が寄り添ってくれたから。可奈かながいてくれたから。太郎たろう君も。葉月はづきちゃんは、僕に勇気を教えてくれた。皆いつも一緒。素敵な人達ばかりで、いつも励ましてくれた。一人ぼっちじゃなかった。……そう、教えてくれた。


 だから、今年はいい年になる。


 去年に負けじとイベントも豊富。Xマスにあるはずだった『冬季・ウメチカ戦』は二月に延期となった。二月はバレンタインを含む、丁度その時期だ。℮スポーツでありながらも、ラブコメチックなノリ……なら、その前に『書くと読む』のコンテスト、第六回目を迎え、僕と梨花はまさに今、愛を奏でつつも奮闘している。


 ――そして春。桜並木の盛んな頃、令子れいこ先生が産休に入るのと入れ替わりに、瑞希みずき先生が帰ってくる……暫しの間。産休先生として、僕らの担任の先生になるという噂……その情報の発信源は、やはり情報通の可奈。一応は信憑性のある内容……だそうだ。だからかな? 梨花が張り切っているの。憧れのMさんを迎えるのだから……


 もう一人いる。葉月ちゃんも編入試験を……まだ先だけれど、きっとパスして学園に来る。正式な生徒として。期間限定ではない芸術部員になる。僕らの可愛い後輩だ。


 過る、このように脳裏を過る。内容だけでも、


 もう「おめでとう」が溢れんばかりで……僕の革命が続く、楽しい予感が満載。


 そして、十二日の予定だった登校日も、今日七日に急に変更されていたけれど、

 楽しさ倍増なので、問題なくというより、待ちに待っていたという表現がピッタリだ。



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