第三二一回 ……それから、レッドコメットへ。


 ――今宵、余韻に浸る前に……そう、もう少しばかり。



 赤いコメットさん。それがヒントだ。そして……今日の僕はサンタさん。そのヒントを基にプレゼントを思考する。その前に、一人フミフミと、寒さ凌ぎの足踏みを……



 見上げるイルミネーション。その奥にはお星様もキラキラ輝いて。

 深々と、音もなく舞う雪は、シャンデリアの輝きを彷彿とさせる。


 ここは、とあるショッピングモールの前。

 更には、玄関口ともいえる場所。待ち合わせには格好の場所……。


 すると、


「お嬢ちゃん一人?」と、声を掛けられた。


 お嬢ちゃんと僕のこと言うけれど、男の子が三人で背は高いけれど、僕と同い年かそれくらいの年齢と思われる。……いずれも知らない男の子で、何か、何か……


 壁に手を着いて……えっ?

 これって壁ドン? やだ、顔近いし。


「怖がらなくていいんだよ、Xマス一人じゃ寂しいよね。……だ・か・ら、

 どう、僕らと一緒に楽しもうよ。君だって本当は、期待してるんじゃないかな」


 ――そんなにお洒落してるから。


「ちょ、ちょっと、そんなんじゃ」


 手首、掴まれた。僕は……僕は、


「やだっ! 助けて太郎たろう君!」と、叫んでいた。そして間髪入れずの、本当に電光石火のタイミングで、太郎君の姿はもう目の前に現れ、


「お前ら、俺の千佳ちかに何やってるんだ?」


「……ってお前、霧島きりしま。なんてこった、おい逃げるぞ」と、三人の男の子たちは走り出して、そのまま逃げちゃったの。……三人とも、太郎君のことを知っていたみたいなの。



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