第三〇一回 それは、手と手を取り合って。


 ――僕と梨花りかは最高の姉妹。挑む先にも不安はあるけれど、二人なら大丈夫。



 可奈かなは、そう梨花を励ましてくれた。


 梨花は、そう僕を励ましてくれたの。そして、葉月はづきちゃんからも励まされて……僕は何かしてあげたいの皆に。皆を元気にしてあげたい。そんなエッセイを描きたい。



 僕は、笑顔が大好き。


 皆が、笑顔になれるのなら、僕は嬉しい。


 小さい頃から、そう願っていた。

 小さい頃、お母さんの笑顔が見たかった。


 誰も、誰一人として泣く人のないように……思えば、それがきっかけだった。僕一人では見付けられなかった。梨花と出会えたから、皆と出会えたから見付けられた。



 そして叶うの、次々。

 叶っているの、次々。


 梨花は僕のことを『魔法少女』と言っていたけれど、もしかしたら梨花の方が『魔法少女』かも。そしてこの、Xマスのビッグなイベントまでも。それはウメチカ戦。


 新型ウイルスの最中にあっても、

 この度は、オンラインで開催されるウメチカ戦。題して『冬季・ウメチカ戦』


 また動き出したの『プロジェクト・ウメチカ』も。もしかしたら、梨花が……


 あっ、目が合った。


「どうしたの、千佳ちか? 僕の顔に何か付着してる?」


「ううん、何でもない」と、僕は慌てて顔を振る。


「千佳、今年はイベント盛りだくさんだよ。一緒に楽しもうね」


 と、言う梨花の笑顔は、きっと魔法少女の笑顔。もちろん返事は「うん!」だ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る