第四十六章 とある千佳の魔法。

第二九三回 と、いうことは……千佳は魔法少女?


 ――と、梨花りかは言うの。



 それは、もう十二月の景色の中へ。


 お空は、そう低くて、流れる景色。だけれど雪景色には程遠くて……でも、でもきっとね、ホワイトクリスマスは確定の……その様なイメージが脳内に繰り広げられている。


 その日は、僕のパパの誕生日。

 ティムパパの誕生日。生誕三十一周年を迎える。

 

それから、梅田うめだ家の一周年でもある。梅田千佳ちかが誕生して一年だ。



 梨花とは、お部屋でお話したかったのだけれど、今この場になる。それは走る電車。その車両の中、私の鉄道を駆け巡る朝の景色の中を。見慣れた景色……されど新型ウイルスのニュースは付き纏う、この一年。様々な形状のマスクは、圧迫感を覚えさせる。


 察しの通り、僕らは登校中で、

 今日は梨花と二人で、可奈かなは変動する気温が原因で体調を崩して、お休みなの。


 梨花の言うその言葉、

 僕のことを魔法少女という、その言葉……


 マスクによる圧迫感を少し、軽くしてくれた。寒さも少しはね……和らいだの。



 では、どの種類の魔法少女なのか?


 戦闘描写や、残酷描写のあるもの?


 でも、心が和らぐ……ということは、ほのぼの系な魔法少女かな?


 この現実社会に於いて、冷たいイメージが蔓延る中を、時折それに支配されそうになる乾いた心を、……思えば、この一年が覆してきた。圧迫する新型ウイルスのニュースに負けないようにと、心の暖炉は、その心を温めてきた。温かい人達が囲んでくれたから。


 それが魔法? その問いに答えるためには、もう少しお時間が必要だった……



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